二人の夜

「それじゃあ電気消すね」

「うん、ありがとう」


 寝室に着いた私達はそれぞれベッドに横になった後、小雪が部屋の電気を消してくれた。部屋は真っ暗になるが窓から入ってくる月明かりのおかげでうっすらと見える程度だ。


「小雪……おいで」


 私が優しく呼びかけると、小雪はゆっくりと近づいてきて私の隣に潜り込んできた。そしてそのまま私に抱きついてくる。その身体はとても柔らかくて温かかった。私はそんな小雪を抱きしめてあげるとその身体はとても小さくて壊れてしまいそうなほど繊細に思えたが、それでもしっかりとそこに存在していることが感じられて安心することが出来た。


「月ちゃん……」


 小雪が私の名前を呼んでくれる。その声はとても甘く優しい響きを持っていて心地良かった。


「なぁに?」


 私もそれに応えるように聞き返すと、少しの間沈黙が訪れた後に小雪はゆっくりと話し始めた。


「私ね、今すごく幸せな気分なんだ……。月ちゃんとこうして一緒に居られて、恋人同士になれて本当に良かったって思ってる……」


 小雪はそう言うと私を抱きしめる手に力がこもるのを感じた。私もそれに応えるように強く抱きしめ返す。すると、小雪はとても嬉しそうな声で囁いた。


「好き……大好きだよ……」


 私はその言葉に応えるように再びキスをすると、小雪もそれに応えるように積極的に舌を絡めてきた。そして、しばらくの間お互いの存在を確かめ合うように求め合った後、どちらともなく唇を離した。


「私もだよ」


 私がそう言うと小雪は嬉しそうに微笑んでくれる。そんな様子を見ていると愛おしさがどんどん増していくのを感じた私はもう一度キスをすることにした。


「んぅ……」


 小雪は抵抗することなく受け入れてくれる。それどころかむしろ積極的に求めてきてくれるので嬉しく思った。そして、しばらくの間キスを続けた後、お互いに見つめ合って微笑み合うのだった。


「月ちゃん……ずっと一緒に居ようね……」


 小雪はそう言うと私の手を握り締めてきた。私もそれに応えるように強く握り返すことで答えると、そのまま眠りにつくことにした。こうして私達は幸せな気持ちで眠りについたのだった。


 ◇


 side.小雪


「月ちゃん、もう寝た?」


 私は隣で眠っている月ちゃんに小さな声で語りかけた。しかし反応はないようだ。どうやらもう寝てしまったらしい。


 私はそっと手を伸ばして月ちゃんのほっぺに触れる。すると、とても柔らかくてスベスベしていた。今度は指先で軽く突いてみるとぷにっとした弾力があった。それがなんだか面白くて何度も繰り返していると月ちゃんの目がゆっくりと開いた。そして眠そうな目を擦りながら私の方を見る。どうやら起こしてしまったみたいだ……。


「んぅ……小雪?どうしたの?」


 私が慌てて手を引っ込めると、不思議そうに聞いてくるので私は咄嗟に言い訳をすることにするのだった。


「な、なんでもないよ!ちょっと目が覚めちゃって……」


 我ながら苦しい言い訳だとは思ったけど、月ちゃんは特に疑う様子もなく納得してくれたようだった。


「そう……じゃあおやすみ……」


 そう言って再び眠りにつく月ちゃんを見てホッと胸を撫でおろした私は、再びベッドに横になり目を閉じるのだった。

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