断罪された悪役令嬢、現代ファンタジー世界の最弱スライムに転生しましたわ!規格外の力でモンスターやアイテムを吸収して無限に成長していたら、いつのまにか探索者からは災厄なんて呼ばれて恐れられていますわ!?
第1話 これが運命ならば、受け入れてみせますわ!
断罪された悪役令嬢、現代ファンタジー世界の最弱スライムに転生しましたわ!規格外の力でモンスターやアイテムを吸収して無限に成長していたら、いつのまにか探索者からは災厄なんて呼ばれて恐れられていますわ!?
☆ほしい
スライムに転生したので、初心者ダンジョンで無双しますわ!
第1話 これが運命ならば、受け入れてみせますわ!
「シャルロッテ・フォン・アストリア、貴女の罪状は明白です!」
壇上から告げるのは、学院長代理の裁定役を務める教師。そして、その隣に座るのは第一王子エドモンド様。アンジェリカの“守護者”として正義の執行を気取る姿が実に滑稽ですわね。
「私が扇動したですって? そんなくだらない話、信じる方がどうかしていますわ!」
高座に立つ私、シャルロッテ・フォン・アストリアを取り囲む視線は、まるで獲物を狙う野獣の群れのようですわね。王国一の名門貴族である私に対し、無礼極まりない状況ですこと! 裁定場と化した学院の広間、ここで私の“断罪劇”が進行中というわけですわ。
噂の発端は、平民出身ながら“聖女”と持て囃されていたアンジェリカとかいう少女。彼女が貴族学校で人気を博し始めた頃から、どうにもその猫かぶりが目に余りましてよ。何もしていないと言えば嘘になりますけれど――周りを扇動した? 冗談ですわ!
「私が周囲の者を扇動したという証拠は? 私はただ真実を語っただけですわ。あのアンジェリカが、清廉潔白な聖女だなんて笑わせますわね!」
そう、私が気に食わないのは彼女の偽善ぶり。猫を被った態度で周囲を魅了し、実態は王子に媚びを売る卑しい平民! ああ、この場に至ったのも、少し言葉を強くしすぎた結果なのでしょうけれど、後悔などありませんわ!
「シャルロッテ、君は貴族としての品位を欠き、他者を貶める行為に及んだ。それは許されない!」
エドモンド様の非難の声が響き渡る中、私はただ肩をすくめましたの。まあ、どうぞお好きになさいな。どうせ結末は決まっているのですもの。
それでも、私が許せないのはこの理不尽な状況。私が悪役に仕立て上げられ、彼女が純真無垢な聖女として称えられるなんて――。
「どうぞお続けになって?」
この私、シャルロッテ・フォン・アストリアを批判するなら、どうぞご勝手に!
私の言葉にざわめきが広がる広間。侮蔑、軽蔑、そして哀れみの視線――まあ、結構ですわ。これほどの注目を集められるのは、やはり私が選ばれた存在である証ですもの。
「シャルロッテ、君にはこの場をもって罪を宣告する。」
エドモンド様が静かに、けれど強い意志を込めて告げる。
「王国法に基づき、貴女には処刑を言い渡す!」
処刑――処刑ですって!? 一瞬、頭の中が真っ白になりました。
「処刑……まあ、面白い冗談ですわね?」
「冗談ではない。……アンジェリカ・リーヴェル、これで安心できるか?」
エドモンド様が名前を呼び、視線が小柄な少女に向かう。その瞬間、私は苛立ちを抑えられませんでしたわ。そうです、この全ての元凶は彼女! あのぶりっ子聖女がここまで私を追い詰めたのですわ!
彼女は悲しげな顔を装い、涙を一滴落として見せました。その芝居がかった仕草に、周囲の貴族たちは再びざわめきます。やはり彼女の演技は完璧ですわね。
「皆様……私はただ、シャルロッテ様に謝罪をいただければ、それで十分ですのに……」
その声、憐れみを誘う仕草。何も知らない者が見れば、彼女が純粋無垢な被害者に見えるでしょう。でも私は知っていますの。彼女がいかに巧妙にこの状況を操ってきたかを!
「……ふん、見事な演技ですこと。」
私は嘲笑を浮かべましたわ。すると周囲の視線がますます冷たくなります。まあ、結構ですわ。どうせこの場に味方などいませんもの。
「シャルロッテ・フォン・アストリア、貴女には処刑を言い渡す!」
場のざわめき、冷たい視線、私を見下ろすエドモンド様の厳しい顔、そしてアンジェリカの見下した笑顔。全てが頭の中で渦を巻いて――
*
――どれほどの時が経ったのかしら? 気が付くと、意識だけがぼんやりと浮かんでいるような、そんな感覚に包まれておりました。私の記憶は確かですわ。確かに私は断罪され、処刑されたはず。でも……これはどういうこと?
周囲に光が差し込むような気がして、ゆっくりと目を――いえ、目を開けた感覚すらありませんけれど、ともかく視界が広がっていきましたの。
(ここは……どこかしら?)
目に映ったのは、不思議な空間。金属のような壁、青白く光る模様、そして見慣れない植物が無造作に生えている床。何かの迷宮、あるいは現代的な工場のようにも見えましたわ。でも、そんなことより――
(……何ですのこれ?)
体を動かそうとして、私は愕然としましたの。手がない! 足もない! ……あら、そもそも私の体が……!
ぷにゅん。
何かが柔らかく揺れた感覚がしましたわ。それが、私自身の体の一部だと気づくまでに少し時間がかかりましたけれど……。
(これは……スライム? ですわよね?)
そうですわ。私の体は、どう見てもスライムそのもの! 透明で柔らかい、ぷにぷにとした小さな塊。それが私の新しい姿ですの?
(処刑された結果が、スライム転生? ふふっ、上等ですわ……!)
私はつい笑ってしまいましたの。だって、あまりにも滑稽ではありませんこと? でも、よく考えてみると、これはむしろ好都合かもしれませんわ!
(これが運命ならば、受け入れてみせますわ! それが私、シャルロッテ・フォン・アストリアですもの!)
そう、どんな姿になろうとも、この私に不可能はありませんわ。このスライムの体で何ができるのか、試してみませんとね!
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