27話 ド、ドラゴン=サン!!!お気をお確かに!

「うぅん?」


「どうかしたんですか?」


あの日から数日、特に何事もなく過ぎたある日、ハウス内の畑で農作業をしている時に気づいたというか気づいてしまった事があるのに近くで作業していたカエデ嬢が自分の唸りに気づいて、聞いてきた。


「いやね、もしかしてなんだが・・・」


と言っていたら、手伝いに来ていた姫様やメイド長、ローザ嬢まで近づいてきた。


「カエデ嬢は自分と同じ地球から来たから聞いた事あると思うけど、馬鹿のやる事斜め上っていうじゃん?」


「ですね」


「カードテイマーにチェンジして、その力を噂とかで再確認した馬鹿が居るとして・・・人類の守護者とか、鹿なんて・・・」


こう、なんだ、自分で考えて、自分で発言しておいて、アレなんだが・・・


『あり得る・・・・・・』


この場に居る人間全員が満場一致で同じ言葉を言ったので、かなり不安になってしまった。なお、フラグってさ?回収されるもんらしいよ・・・・・・?



『あったぞ。この大陸の出来事では無いがね』


いや、あったんかいとツッコミ入れたのは義兄である第一王子との定時報告後の家族同士の雑談の時である。


「本当ですか、お兄様?」


『とは言っても、相打ちだったらしいけどな』


詳しく聞いたら、なんでも火山系のダンジョンに居るエンシェント級のドラゴンに対し、密猟者チーム全員がカードテイマーにチェンジ後に編成をして、突入。まあ、流水の剣士は有名なので、その融合方法を使うのに必要なコミュニケーション法も碌に取らずに強引に融合。


「まあ、水属性に噂の強い剣士且つ、エンシェントクラスを討伐した融合という手段を使うのは分かる」


うんうんと頷く画面向こうの王子様とこちらにいる王女様。


「なんで、自分達が居る大陸の守護者殴りに行ったのか」


『「 そ れ な 」』


まあ、貴重な素材ぐらいにしか思ってなかったんだろうが、後、その考えに至ったであろう心当たりが1つ。


「多分、その死に際のドラゴンブレス食らって全滅したの転生者集団だろ。例の集団国家転覆転覆事件の生き残り」


『おや、分かるのかい?』


転覆転覆事件がツボに入ったのか、王子様も王女様も笑いを噛み殺している。酷い・・・・・・事件だったね・・・・・・まあ、それはさておき、さておかせてくれ。


「現地民のパーティでは少なくとも無い。火山を守護するというのはどういう事か分かってるからね。じゃあ、他国のスパイや混乱させたい他国の軍人か?否、そんな事したら占領する意味が無い。ましてや、火山を守護するという意味は分かっているはずだ。であれば、こう言っちゃなんだけど極度なぐらい世間知らずで傲慢で、再起を誓い、戦力を整えたい勢力はどこ?と聞かれたら、ねえ?」


「『あー』」


まあ、向こうは向こうで素材としてしか見てなかったってのが8割ぐらいなんだろうけど、しかし・・・


「お義兄さん、それ、両者倒れた後はどうなったんです?」


『それが妙な事になってるんで、良ければ知恵を貸してほしい』


「「妙?」」


曰く、。消えているならば、素材が落ちている筈なのだがという。件のドラゴンが居ない事で火山の活動や守護の恩恵も消えているので確かにドラゴンは死んでいるらしい。


「が、ドラゴンは居ない。ダンジョンモンスターに喰われたとかは?」


『仮にもボス部屋と呼ばれる場所だったから可能性は限りなくゼロに近い』


ですよね、そうなると、何が・・・・・・あっ!


「お義兄さん、んですよね、そういう報告があると言う事は?」


『そうだね、それが?』


「では、その探索隊にいますか?」


「『あっ!!』」


まだ、これは予想の範囲であり、マジでこう、この世界の常識を覆すレベルの出来事ではあるが、かなり高い可能性としてある事である。何が?って・・・・・・


「ドロップしたの、そのドラゴンのカードの可能性が高いかなあって・・・んで、カードテイマー以外にはカードが見えてない可能性が・・・」


『失礼する。緊急、緊急!父上に面会許可を取れ!通信の魔道具用意!!!急げ!一刻も無駄に出来んぞ!』


おそらくだが、件のダンジョンに入り込んでドラゴン討伐した奴等、偶然か、それとも何かしらで情報を得たのか、カードテイマーフルパーティ編成で行ったのだろう。まあ、流水の剣士も数が居ればそうなるなだし、戦略としては悪くはない。召喚者本人が死んだら、あっという間に崩れる編成ではあるが、例の転覆事件の転生者の生き残りなら、チートが封じられてる今、最も火力が出る編成だろうしね。んで・・・


「偶然にもんだろうな」


「おそらくはね」


魔道具を止め、居間を離れて畑に向かいながら言う。これまた、国家間の相談案件が増えたなあと思う。何故かは単純だ。


「ダンジョンのボスモンスターを条件が揃えばカード化出来る。これは大問題だよなあ。流石にまだ分からない条件があると思ってるけど、それでもなあ」


「「「条件?」」」


王女様他、ローザ嬢とカエデ嬢もこちらに来てからは畑の手伝いをしてくれている。薬草の観察というのもあるだろうけどね。ちなみに、メイド長は部屋の掃除とご飯作りである。


「流石にボスモンスターが特定の条件無しにゲット!なんておかしいだろう?」


「確かに。では、その条件を検討してみませんか?」


ローザ嬢の返答に頷く。とりあえず、雑談の片手間に収穫出来る2人と、農作業に完全に慣れてきたうちの姫様って特殊なんだろうなあと思いつつ、続ける。


「まず、カードテイマーだけの編成なのは間違いないだろうね」


「ですわね。加えて、ボス部屋とされる部屋まで行くのが条件の一つになるでしょうか?」


ローザ嬢の追加に頷く。ここまでは分かる。問題は・・・


「勝利したのも条件なら相打ちなのにドロップしたらおかしい」


「だよねえ」


王女様の言葉に頷く。勝つ事も条件なら、相打ちだからなあ。何か、何か・・・・・・あっ!


「・・・・・・もしかしてだけど、色々学者的な見地が崩壊してしまう説あるんだけど、聞く?」


「「「はい?」」」


ああ、うん。これ話してもええんかなあ?と思いつつ、話を進める事にする。


「聞き忘れたんだけど、多分ね、例の事件の生き残りと言う事は人数が少ない。4~6人ぐらいのパーティだと思うんだ」


「ふむ?」


王女様を見ると、続けてという感じで首肯されたので続ける。


「で、こちらのドラゴンはどうか分からないけど、自分が向こうの世界の読み物とかで知るドラゴンと同じならプライドが高いと思うんだけど、ローザ嬢?」


「ですわね。ランクが高く知能も高い、種族としてのプライドも高く、使役するでは無く、されてやろうなドラゴンが多いですわね」


うん、これは間違いない。自分の考えが的中してる可能性があるな、酷すぎる・・・


「で、まあ、融合モンスターは抜きに考えると、想定人数での討伐の偉業としては、どのレベル、姫様?」


「そうだね。件のドラゴンが守護者であり、ダンジョンの主である事を考えると、ドラゴンスレイヤーの地位を与えても・・・」


「「あっ!!!」」


そこまで言った姫様とローザ嬢が声を上げる。どういう事か分かったら、そら、頭抱えるわなあ・・・なんでって?


「ドラゴンが認めて倒れる、んで、お前達を俺の主として認めよう的な事考えてカード化。でも、ドラゴンの最後っ屁のブレスでパーティ全滅。だって、カードテイマーになったら、パッシブスキルも消えるし、ステータス全部落ちるし、生身の人間と変わらんもん。悲しい、事故だったね・・・・・・案件っていう」


『うわぁ・・・・・・』


そこまで言うとカエデ嬢も想像出来たようで、この場に居る全員が一斉に頭を抱えるポーズ。こう、なんて言うか、ドラゴン君、今カードの中で真顔の宇宙猫状態なんじゃないかな?


「とりあえず、姫様。追加情報を。カードテイマーが件のカード見つけても持ち帰ろうとせず、その場で解放(リリース)してくださいと言っておいた方が良いでしょう」


「直ぐに伝えるよ」


そう言って、姫様を見送り。溜息を吐いて一言続ける。あっ、開放は所謂、ゲットしない宣言みたいなもんだね。


「ドラゴンもしばらくしょんぼりしてるんだろうなあ」


ブフッ!っと自分の言葉に吹きだしたローザ嬢とカエデ嬢を見ながら、苦笑しつつ、畑の収穫物の収穫を再開するのだった。え?件のドラゴンどうなったかって?これは噂でしかないのだが、件のダンジョン、しばらくは最下層の扉が開かなかったのだとか、天岩戸伝説かよ!

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