第2話 じゃじゃ馬馴らし

 明け方近くに“ねぐら”に戻って来た染太郎に、夜着にしているスウェット姿まま鎮座していた雪之丞は苦言を呈した。


しんさん(染太郎の本名)! 昨日のアレは何だい!? お客様には申し訳ないし、座員への示しが付かないじゃないか! 先代がアンタとワタシを育てた時、何か分け隔てをしてたかい?! いくらアンタが先代が育て上げた看板役者だって、ワタシも贔屓はできないんだよ!」


 染太郎は少し斜に構えて言葉を返す。


「それは、座長としてかい? それとも……」


「座長としてだよ!! 自惚れんじゃないよ!それ以外の何があるってんだい!!」


 染太郎は切られたタンカを薄笑いで返す。


「そのタンカ! 先代譲りの小気味良さで惚れ惚れするねえ~だが!」

 と染太郎は手を伸ばし雪之丞の“スウェットの胸”をムンズ!と掴んだ。

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