第11章 アナリティクス
第49話 視聴数推移
次の日、久しぶりに自分の趣味に時間を使った。このところ作詞等に追われて、アニメの録画や、見てないweb漫画やらが溜まっていたので、一気に解消した。
隕石が落ちてくるのに何やってるんだと思うかもしれないけど、逆だ、落ちたらもう見れないから見ておくのだ。
そんなこんなで、もう夕方である。
ミッケの動画も見ておこう、再生数増えてるといいな。チエのお陰でつくし台の生徒にも知れ渡ってる頃だろうし、せめて、100ぐらいいってればなぁ。
そんな気持ちで動画を開くと……再生数98。う〜ん、惜しい、もう少しでピタリ賞だった……ってオイ!思わず1人ノリツッコミをしてしまった。いやぁ、最低ラインの想定を下回るとはね。大丈夫か、これ?ちょっと別アカ作って褒めちぎるコメント追加しとこうかな。
コメ欄を開くと、再生数の割には結構コメントが入っている。
何々……想像より良い、歌上手い、カッコいい、歌詞が良い、勇気が湧く……何だ、結構良いコメント書いてくれてるじゃん!
え〜と……後ろの人何?、ブラックエンジェルK(笑)、何故その格好、怖い、世界観が違う、怖い、俺は嫌いじゃない、怖い……う〜ん、カノンについてのコメントも多いな、まぁ目立つよね。
あっ!区民ホールのコンテストに行ったって人のコメントもあるぞ……コンテストはナナミンが優勝したけど、絶対ミッケの方か良かったって書いてくれてる!いやぁ、有り難いね、見てくれれば良さが分かるんだけどなー。とても歯痒いが、地道にSNSとかで宣伝するしかないか。
しかしその後、思わぬ形で再生数が伸び始める。どうやらブラックエンジェルKの異質感を面白がった人がSNSに上げ、軽くバズったのだ。黄色いツインテールに過剰なメイクのカノンのルックスにハマるマニアも一定数出現した。
望んだ注目のされ方ではないが、結果オーライだ、見てくれる人が増えればいい。公開3日後の日曜日には再生数が3千を越えた。
その後、また転機が訪れる。ミッケが出場した新人歌手コンテストの本戦が日曜日に行われたのだが、ナナミンこと古河七海が優勝したのだ。
当然SNSで話題になり、ネット媒体などにも記事が上がるのだが、コメ欄にミッケの方が上手いと動画のリンクを貼るものが現れたのだ。
どこにでもアンチはいるもので、歌唱力に疑問を持った人達を含んで、コンテストはヤラセだ茶番だと騒ぎ立て、そこそこの炎上騒ぎになった。それに比例するように、ミッケの動画の再生数がグングン伸びていき、水曜日にはとうとう再生数が5万を超えた。
うわ、凄っ!再生数がとんでもない事になってるよ。動画に辿り着いたきっかけは不純だった人が多いだろうけど、高評価の数も多いし、コメ欄でも良い事書いてくれてる人がほとんどだ。
同じ人が何度か見たケースもあるだろうけど、5万人位の人達が因果応報の能力を受けてるって事だもんね。
見た人の中には悪い人もいるかもしれないけど、この歌にハマる人は、普段は報われていない、善良な人達だと思う。
一方、テレビでは、4日後の日曜深夜にピークを迎えるペルセウス座流星群の話題をやっている。隕石が落ちてくるなら、流石にもう、発見されてるんじゃないか?だけど、そんな話は全く出てきていない。
これは、ひょっとしたら隕石落ちるの回避出来たんじゃないかな?5万人もあの動画を見たんだ、きっと結果が出たんだよ!
胸に込み上げてくるものを感じる。私達は勝ったんだ……!
木曜日、久しぶりに5人で集まり、カラオケに行くことになった。少し気が早いけど、無事に計画成功したお祝いだ。
カラオケの受付のお姉さんはミッケを見て、あれ?みたいな顔をしていた。きっとミッケのYouTubeを見たことがあるのだろう。
「ミッケってば、有名になって街を歩きにくくなったんじゃなーい」
チエがミッケの事を肘で押しながら、からかう。
「イヤ、そうでもないよ。2回位声かけられた事あるけど、日本で5万人なんて大した数じゃないさ。これからもっと沢山の人に聴いてもらいたいと思うんだ。でも、路上で歌う時は、大分集まるようになったよ」
「へぇー、そうなんだ!『
「そうそう、凄い盛り上がる!でも、続いて他の曲歌うと人が減ってくんだよね」
う~ん、ミッケには新曲の作詞をしてあげないといけないかな。
「ブラックエンジェルKは、道で声かけられたりしないの?」
「バカッ!言うなよそれ!バレるじゃねーか!かけられるわけねーだろって」
カノンがチエを肩でド突く。うん、それは絶対バレたくないよね。
和やかな雰囲気の中、みんなで歌う。努力が実った充実感が漂う。最後は伴奏無しだけど、みんなで『
帰り道でモノが尋ねる。
「もう、隕石が落ちる心配は無いと考えていいんですよね?」
「うん、大丈夫だと思うけど、落ちる予定の日が次の日曜深夜、具体的には月曜の夜明け前だから、それが過ぎるまで、ちょっと落ち着かないね」
「その日が過ぎたらさー、せっかくの夏休みなんだから、みんなで旅行に行こうよ!アタシ計画立てとくからさ」
「うわぁ、チエそれ、なんかフラグっぽいな」
「エッ!なにフラグって?」
チエはキョトンとしている。後ろからカノンが肩を叩く。
「いや、リル考えすぎだろー。ハッピーエンドの方の夢の最後はどんな感じで終わったんだ?こんなふうにカラオケ行って談笑して終わるとかじゃないの?」
「イヤー、終わりの場面は覚えてないな〜。5人でいたってことだけだね」
カノンは「だったらこれで問題無いじゃん」と言って笑った。確かに、これで問題無い。何も問題無いけど、何かもう一つスッキリしない感じがある……。
その日の夜、自室で机に向かい漫画を描いていると、ふと、気になってカーテンを開けて窓から外を眺める。
すると一筋の光が流れて行くのが見えた。
「あっ、流れ星だ!ピークはこれからだけど、もう、流星群来てるんだね」
ぼんやり空を眺めていると、1つ、2つ……1分もしないうちに次々と星が流れて行く。
「エッ、こんなに来るんだ!?ピークの日はどうなっちゃうんだろう」
その日、夢を見た。そう、新たな予知夢を……。
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