第17号 現実が小説を超えるとき

 エルサルバドルにある巨大刑務所「CECOT」は、トランプ米政権がギャング構成員とされるベネズエラ人数百人を強制送還する方針を決める以前から、悪名高い施設だった。

施設の正式名称は「テロリスト監禁センター」。収容能力は4万人で、物議を醸すエルサルバドルの国内犯罪取り締まり策の最大の象徴となっている。

現在、ここには大量殺人犯や「最悪中の最悪」と評されるギャング構成員など、ベネズエラで最も凶悪な部類に入る犯罪者が収容されている。過酷な収容環境は悪名高い。

(中略)

「世界一クールな独裁者」を自称するエルサルバドルの強権的な指導者、ブケレ大統領は米国からの送還者をCECOTに収容すると申し出、その見返りとして米国から600万ドル(約8億9800万円)の支払いを受ける前例のない取引を結んだ。エルサルバドルの刑務所制度には年間2億ドルかかっており、この資金が制度維持に役立つ見込みだ。(CNNの記事から抜粋)



 先日、ポッドキャストを聴いていてこの「刑務所」のことを知ったのですが、エルサルバドルではギャングの構成員だと判断されると、裁判を受けることなくここに収容されるそうです。しかもこの刑務所は、一度入ると二度と出られない。ポッドキャストによると出所させるつもりはなく、世界一巨大な、世界一恐ろしい刑務所らしい。


 この施設の良し悪しについてここでは書きませんが、この施設――フィクションに出てくる監獄みたいじゃないですか。入ったら二度と出られない巨大刑務所……ってマンガの設定か? KACで牢屋・監獄を扱ったネタを書こうかなと思ってたところだったので、この刑務所のことを知って驚きました。


 ――現実がフィクションを超えている。


 エルサルバドルという国は、数年前までギャングが跋扈する非常に治安の悪い国だったようです。このギャングに対する取り締まりを強力に進めたのがいまのブケレ大統領で、その象徴がこの巨大刑務所というわけ。


 超法規的措置によりギャングをつぎつぎと収監する取り締まり手法により、治安は劇的に改善、ブケレ大統領はエルサルバドルはもちろん近隣の国でも大人気らしい。その政策は、人道上、問題があるみたいだけど……。


「事実は小説よりも奇なり」といいますが、まさにそうで、フィクションを超えた現実はちょっとわたしでは思いつけない恐ろしさがあるなと感じました。。。


 

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