第9号 がんばっても結果がついてこないと凹むよね

 体がガタガタです。このひと月のあいだ、詰めて剣道の練習をしてきたのですが、筋肉の痛みや手足のまめ、打身など、体中のあちこちが痛いです。50代も半ばに差し掛かると、体のダメージを回復させるにも時間がかかります。この苦労に見合った結果が得られているが(試合に勝てるようになったか)と問われると、答えは「No」です。いまわたしは年をとってからスポーツに打ち込むことの悲哀を日々感じているところです。


 さて、わたしが剣道で感じている「がんばっているのに希望する結果に結びつかずモヤモヤする」という感覚。さんざんカクヨムで味わってきたことじゃないかと思い出しました。書けども書けどもPVは上がらず、コメントはつかず、☆は増えない……深い徒労感と疎外感。小説なんて書いても無駄だやめちゃおうかと何度思ったことか。


 そして、結論としてはやめない方がいいということもよく分かっています。小説の評価のものさしは、PVや☆だけではありません。コメントつけることに躊躇する人もたくさんいます。読者からのリアクションがないからといって、読者がいないわけではありません。作品の出来が悪いわけではありません。書籍化作家さんの作品に――これだけしか☆がないの? と驚くのはカクヨムあるあるですからね。


 これからも続けたいと思います。

 えっ、なにをって? 小説も剣道もかな。


 今回は、こんなふうにままならない剣道と創作について書こうと思ったのですが、剣道という武道は、その認知度の高さに比べ、スポーツとしては非常にマイナーです。創作で取り上げられることも少ないです。試しに「剣道小説」や「剣道マンガ」で検索してみましょう。


 剣道小説なら、誉田哲也さんの『武士道シックスティーン』が出てくると思います。もちろんほかにも剣道を扱った小説はありますが、ことおもしろい剣道小説といえばこの『武士道シリーズ』一択じゃないか。あたまひとつ抜けていると思います。剣道バカである脳筋女子と、剣道素人だが才能を秘めたお気楽女子。ふたりの女子高生が剣道を通して成長していく青春エンターテイメント小説です。2007年刊行と古い小説ですが、それだけ剣道を扱った小説が少なく、おもしろいものはさらに少ないということだと思います。


 剣道マンガなら、村上もとかさん『六三四ムサシの剣』か最右翼なんですが……これは1981年に少年週刊サンデーで連載がはじまったスポ根マンガです。ちょっと古すぎる! ただ、この40年間、『六三四の剣』よりおもしろい剣道マンガがなかったことは事実で、剣道がいかにマイナースポーツか、マンガで取り上げても読まれないか示しているのではないかと思いました。


 あと剣道は上級者になればなるほど、竹刀捌きの技術や試合の結果より、剣の精神性や人格の陶冶といった半ばオカルトのような部分へと足を踏み入れてゆく傾向があるように思います。「刀は武士の魂である」「武士道は死ぬことと見つけたり」とかいう江戸時代の武士の価値観、道徳観がいまの剣道の背骨となっていて、現代的なスポーツとして脱皮しきれていないところがエンターテイメントとして扱いづらいところになっているのかなと思います。(『武士道シックスティーン』はこの価値観を逆手にとったとてもおもしろいタイトルですが、やはりその価値観から脱しきれていないということでもありますからね)


 わたしの剣道はやめませんが、そろそろひと段落です。また本を読んで小説を書けたらいいなと思います。どんな小説を書こうかなあ。

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