Master of Element

亞剉ゼル

プロローグ


誰も見ていないモニターから、広告がループで流れている。

Masterマスター ofオブ Elementエレメントーーー舞台は再びイリースへ……』

 店の片隅では、学生の客がカードゲームをプレイしている。人が少ない為静かだった店内は客達のカードをプレイする物音とモニターからの広告の音声だけが聞こえる。

「……5マナ、叡智の書を発動、カードを三枚ドロー……エンド」

 ドロー呪文スペルで逆転のカードを引き込もうとしたプレイヤーは苦悶の表情を浮かべる。

「俺のターン、ドロー。闇の聖女ローズリィーの効果で墓地から魔石騎士アレキウスを召喚する。更にオブシディアンブレイドを装備。戦闘バトルアキレウスで攻撃。」

「水魔の賢者エメリアの効果を発動、手札の水のヴェールを捨て、その効果を適用する。これにより、このターンの戦闘ダメージは0ゼロだ。」

「アキレウスの効果を発動、攻撃時に魔石トークンを出す。」

「コレで勝ちだな。」

 苦悶の表情はブラフであり、自信満々に勝利を確信する……

「それはどうかな?クラインの壺を発動。追加ターンを得る。」

「クラインの壺か……だが、クラインの壺の効果で前のターン発動した呪文スペルが再び使用できる。叡智の書でドローする。」

 一瞬、表情が曇るもドローカード見ると再び余裕の表情を浮かべる。一方はポーカーフェイスを崩さない。

「追加ターン。ローズリィーで墓地のアキレウスを出し、LV2にする。アキレウスで攻撃。」

「何度攻撃しようと無駄だ。エメリアの効果を発動。アクアウォールを捨て、攻撃を無効にする。」

「アキレウスの効果を発動。アキレウスのLV分の魔石トークンを場に出す。魔石を全て破壊し、光マナを生成、光3闇3の6マナで繰り返す運命を発動。お互いに前のターン発動した呪文スペルを使用する。俺はクラインの壺を発動し、其方は叡智の書の効果が発動する。」

「3枚ドロー……」

「クラインの壺で追加ターンを得るが……まぁ、本命はクラインの壺の効果で其方が発動した呪文を複製する方だが」

「……LO、参りました」

 デッキ切れにより、勝負が決着した。Masterマスター ofオブ Elementエレメントはデッキが無くなった場合には、そのプレイヤーが敗北する。

『…………次こそは………………私が…………マス…………メント……第……弾……ほう……のイリ……』

 誰も見ていないモニターからは広告が繰り返し流れていた……


 

 

 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る