≪ galgame≫

あさのたけし

プロローグ

第1話 負けギャルに転機を

二◯一八、夏。

街灯が夜道を照らし、じーじーとスズムシが一人合唱を燃やす中、私朝神奈リョウは、家に着く。玄関を開ける。あ———家だ、と小さくため息をつく。時刻はニ一時であり、そんな折、オタク兄貴が、「こないだの本、読んだか?」。

本なら『ビリギャル』で充分、とさっさと追い払うように追い返す。兄貴と私は、正反対の人生、性格だ。私は、ギャルでいわゆる陽キャ、兄貴はいわゆるオタク、陰キャに属する。私は、オタク文化がキライだ。何故なら過去に"トラウマ"があるからだ。


そんな私に転機が訪れた。それは兄貴から借りた『Fate/Zero』を読んだのが転機だ。


「なんだ———これ」

最初の一ページの衝撃に叶わないと信じていた『正義ユメ』が押し寄せ、その後もすらすらと読んでしまった。そのあと、自分の部屋から駆け降り兄貴の胸ぐらを思わず掴み、


「問おう。他の『Fate』シリーズとかもろもろ教えろ」

兄貴は焦った感じで困惑していたが、わかったわかった、と。


そして渡されたのが、


・『ロクでなし魔術講師と禁忌教典(アカシックレコード)』


・『キノの旅』


・『86-エイティシックス-』


を渡され、

「貴様は、今から小説家志望の人じゃ。その覚悟は、あるか?」

見透かされている。———もう私が子どものようなキラキラした「眼」になってることに。だからわたしは決意を胸に、

「わかった。いってきます」といった———


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