冒険者クリア、すげえ強くなる。
婆さんからマックの秘密を聞いたオレとテラは再びプルガダンジョンの最奥ボス部屋の中に帰ってきていた。ここから戦闘やスキルの最終調整を行なう。
そして、ついに明日はマックが指定したテストの日だ。
今はケルベルスウの三人が同時に襲いかかってきている。
どうやらオレには戦闘の才能があったらしい。
この一ヶ月の訓練でケルベルスウにテラを含めた四人に同時に襲われても問題なく勝てるようになっていた。ガキの頃から見よう見まねで戦闘の練習をしていたのが今花開いているのを感じる。
でも多分それだけじゃない。
理想通りの戦闘を行えるようになっている。
身体がダンジョンに馴染んでいる、とでも言うんだろうか。
ダンジョンの中で戦って、ダンジョンの中でモノを食って、ダンジョンの中で寝て起きて、そうやっている内にダンジョンでの戦闘にオレが馴染んでるのがわかる。
婆さんに言われて。
自分でそれを認識するようになって。
肉体が急激に変化しているのがわかるようになった。背は伸びて、身体には筋肉がついて、それが鎧のように、バネのようになっている。肉体と精神とスキルの調和が取れているのがわかる。
思考しながら。
ベルの吐き出した火炎をパワーウォッシュの拡散ジェットでかき消す。
不思議なほどに強い水の威力を見て、オレはふと思い出した。
「そういえばテラと初めて握手した時にさ、パワーウォッシュがグランドウォッシュに変化したとか言われたんだよな」
壁際で戦闘訓練を眺めているテラにオレは問いかけた。
それと同時にオレの顔面目掛けてスウの出所や距離感のわからない直線的な蹴りが飛んでくる。それを首の動きだけでかわすとレッグガードみたいな脚のモフモフがオレの頬を掠めてくすぐったい。
「あー! それ! 多分、私と契約したからだと思うわ」
「契約?」
死角から落とされるケルの踵おとしを左足を引いて半身だけで避ける。ケルの踵が地面に穴を穿つ。そこで一瞬動きの止まったのを捕まえようと手を伸ばした瞬間にケルは背後に飛び退いた。
「そう。クリアに名前をつけてもらったでしょ?」
「おう」
ベル、スウがオレを挟み、左右から打ち込まれるクロスラリアットを下に避けて、そのまま回転する下段蹴りで二人の足を払って転ばせて、その首根っこを両手で押さえる。
「その時に私を使役した形になったんだと思う。その影響でスキルも進化したんじゃない? クリアと契約しましたって言葉でしょ? 私もそんなような言葉聞いたわよ」
「えーその時に言ってくれよー」
両手の塞がったオレを見て、チャンスと判断したケルが背後から特攻してきたのを、ギリギリまで引きつけてから後ろ蹴りを迎撃すると腹部にクリーンヒットしてそのまま壁に激突してそのまま動かなくなった。
「私だって使役されたのは記憶にある中でも初めてだししょうがなくない?」
「ま、しょうがねえな」
そんな風に可愛く言われたらそりゃそうなる。
「それよりも進化したって言うならスキルをちょっと調べておいた方がいいかもね」
「おお、確かにそうだな」
オレは両手で押さえていたベルとスウを軽く持ち上げてお座りさせてから、壁までぶっ飛んでったまま気絶しているケルを助けに走った。
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