第10話 希望


 ハクが今・・・・戦ってるのか?・・・・・。





ハネダ「もしかしたらダマテの兄貴かも・・・。」




 ノブハラとハネダは山の方を見上げました。




ノブハラ「すまない・・・ハク・・・・。」





・・・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・・・





・・・・・・・・・・・・




ダマテ「ハク!!走れ!!」




暗闇の坂を猛ダッシュで走っているダマテとハクの2人・・・・。





 体力がもう限界でした。しかしここで足を止めるわけにはいきません。足を止める=確実な死が待っているのです。




 島民が襲い掛かってきます。いくら銃を撃っても追いかけてきます。




 この光景・・・・。





 昔、私の事を好きだと言ってくれた男性と映画館で一緒に見たゾンビ映画のようです。




 私はもしどこかのスカウトの目に留まって女優さんになったとしたら、こういうサバイバルホラーのような映画に出演するのだろうな。・・・・そんな事を昔は考えていました。




 結局そういう学校にも行きませんでしたし、女優は志しませんでしたが、それが今現実になっているのです。そんな作ったものよりも恐ろしい、顔見知りに襲われているのです。私は捕まえられてレイプされようとしているのです。




 服を剥がされ、体を無理矢理抑えつけられて何人もの男に囲まれていました。




 自分で舌を噛み切ろう。映画のように食われて死んだ方がマシです。



「おい!!俺が先だっ!!!」



「俺だ俺だ!!!」



「先に殺してからやったほうが良くないか?!」




 ・・へっへっへへっへ・・・・若いのはやっぱりいいねぇ・・・・。





 ・・・・・・・・・




 私は男達を睨みつけます。最後の最後に黙って死ぬことを選んだ私を誉めて欲しい。来世で・・・来世で必ずこの恨みを・・・・。人間の信頼関係を踏みにじられたこの恨みを果たす・・・・。



 それよりも父に度胸を認めて欲しい。どうせ天国へはお互い行かれませんが、地獄で会った時に私を抱きしめて欲しい・・・・。




 女性に産まれた事を後悔してはいませんが、こういう死に方をしなければならない事に対して非常に残念に思います。




 ・・・お嫁さんになりたかったなぁ・・・。白いドレスを着て、仲間に祝福されて・・・・・。





 ズタボロで泥だらけの服で犯されながら死んでいくのは悲しすぎる・・・・・。




 何人も覆いかぶさって来て、生暖かいものが私の顔にかかりました。




 ・・・最後はそれも自分の舌と一緒に食いちぎってやる!!!




 ・・・・・・・・・・



 ・・・・・・・・・・



 ・・・・・・・・





「きゃああああああああ!!!!!!!」




 覆いかぶさっていた男の頭の半分はありませんでした。



 私の顔にかかっていたのは・・・脳でした・・・。ゾンビ映画でしか見た事のない脳みそでした。




 覆いかぶさった男を思い切り払いのけました。



ハネダ「おらぁ!!!!この外道どもがっ!!!」




ノブハラ「ハク!!・・・絶対に諦めるな!!!」




 目を開けるとノブハラとハネダが大型のハンマーで島民達の頭部を殴っていました。



 それもフルスイングで思い切り殴っていました。ほぼ全裸の島民達を総攻撃していました。



島民「このガキがぁ!!!!」



ハク「・・・・ノベタン!!ハネダ!!」



 私は彼らはもう逃げてしまったと勘違いしていました。




ダマテ「・・うおぉぉぉぉおおお!!!!!」




 逃げてる最中に崖から転落したダマテが再び上がって来て加勢します。




島民「うわぁあああ!!!」




 血しぶきがそこらじゅうにあがっています。




 地獄絵図です・・・・。そこら中で叫び声やうめき声が聞こえています。




 私は慌てて立ち上がり、目の前に居た私を犯そうとした小太りハゲの島民の股間を蹴り上げました。



島民「っ!!!!!!!!・・・・・・は・・・ハクちゃん・・・許してくれぇ・・・・」



 そのまま落ちていた自分のシャツで首を思い切り締め上げました。





ハク「許すわけねーだろ!!汚いもんいれようとしやがってこのハゲ!!!!!」





 ギリギリギリ・・・・・





 ・・・・・・・・・・・





 ・・・・・・・・・・・




 ・・・・・・・・・・・



 ・・・・・・・・・・・



ノブハラ「はー・・・はー・・・はー・・・ハク・・・。倒したぞ・・・・。」




 ノブハラは血だらけの私を抱きしめました。




 私はノベタンの姿を見て慌ててズボンを履きました。





ハク「ノベタン・・・・・」





ハネダ「ハク!!・・・・また来てるっ!!」





 ハネダが指さす方向に追いかけて来た島民達のたいまつの炎が見えました。



ダマテ「お前ら!!休む暇はない!行くぞ!」



ノブハラ・ハネダ「はいっ!」




 そこら中に転がっていた島民達のたいまつやライトの灯りを消し、私達は再び闇の中へ歩を進めていきました。




 父から受け取った私のリュック内にあったペットボトルの水で顔を簡単に洗い、口を潤しました。




 私はこの時、もう死んだと、そう思いました。ニヤニヤと汚く笑う島民達に囲まれてしまって覆いかぶさってきて、私の心の中にあったはずの希望が・・・その希望が無くなったのです。これから先の人生がたった一瞬、どうでもよくなったのです。どうでもよくなった途端に体が動かなくなってしまいました。




 どれだけやられてもこの島を出た後の希望だけを失わなければ、まだ精神的に生きていけると心の底から思いました。再び自分を奮い立たさなければなりません。



 ノベタン、ハネダ・・・・あの父のボートで逃亡したものかと・・・一瞬でもそう疑ってしまった事に対して本当に申し訳ない・・・・。



 あ・・・アリタの姿が見えない・・・そうか・・・私の為に戦って亡くなったのね・・・。アリタ・・・私なんかの為に・・・ごめん・・・。私と出会わなければ普通の人生だった筈なのに・・・・・。

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