064 成長

 それから俺は、気が狂ったかのようにダンジョンに潜り続けた。

 ひたすらモンスターからスキル【レベルドレイン】で生命レベルを抜き取り、自身のレベルへと変えていく。


 正直、いくら変えてもキリがない気がしてきた。

 それでも俺は次々にスキルの取得・レベル上昇を繰り返していった。

 

 おおよそ2か月。


 俺は、無心で潜り続けた。

 基本的にダンジョンの外に出たのは、素材を卸しに来た時と食料調達くらいだったかな?

 俺の顔は酷かったに違いない。


 カイリ達には、一ノ瀬さんが俺の代わりとなる遊撃手の自衛官を付けてくれて、6人で回っているらしい。

 何度か電話や直接会って話をしたが、特に心配するようなことはなさそうだ。

 谷浦が、戦闘でも無双できれば俺みたいにやりたかったといっていたが、谷浦には谷浦にしかできないことがあるはずだ。

 それに今はカイリ達を任せたい。

 あいつならカイリ達を必ず守ると信じているから。


 そして俺のスキルのほとんどが20レベルを超えてきた。

 それでもまだ先が見えない。

 スキルレベルを上げようとすればするほど、俺は前に進めなくなる。

 きっとカイリ達は、どんどんダンジョンを進んでいる事だろう。

 きっと今の俺では追いつけないほどの先へと……

 しかし、これを選んだのは俺だ。

 今はまだ準備段階。

 必ず攻略してやる!!!!


 それから更に3か月ほど経過していた。

 俺は、相変わらずスキルとレベルを上げていた。

 カイリ達は既にBランクに上がり、ダンジョンをどんどん攻略していった。


 そして團姉弟の「難攻不落の城壁」はついに日本最高のAランクへ上っていた。

 つまりは、レベル100の大台を、全員クリアしたということだ。


 それと、日本にはAランクが5パーティ存在する。


第1位 「氷炎の双牙」

 魔導士二人が主軸のパーティーだ。

 二人は互いに別々の特性を持っており、一人は【火属性-】と【水属性-】を合わせて【氷魔法】を極めていた。

 もう一人は【火属性+】【風属性+】を合わせた【爆炎魔法】を極めていった。

 それを補う様に、盾職や回復職がバランスをとることによって日本最強を誇っている。


第2位 「無影(かげなし)」

 隠密に重点を置いたパーティーだ。

 集団戦を得意とし、誰かがヘイトを取った瞬間、ほかのメンバーは一気に気配が無くなるそうだ。

 そして気が付くと、モンスターはバラバラになっているそうだ。


第3位 「食材ハンター」

 ふざけた二つ名が付いたパーティーだが、このメンバーはえげつなかった。

 モンスター食材にはまってしまい、その食材を得るために己を鍛え上げた集団だ。

 パーティーバランスはよく、盾役2名と中衛物理1名、後衛回復1名、後衛魔法職1名、遊撃1名の6名。

 特に中衛物理のアーチャーの武器がやばい。

 どうやらダンジョン産の武器らしいが、〝【魔導弓】鳴神ナルカミ〟というもので、魔力を込めると、矢が雷を纏い飛んでいくそうだ。

 しかも速度と威力がレールガン並ときた。

 ほとんどのモンスターは回避できず、粉微塵になってしまうらしい。


第4位 「銃皇武人」

 ほとんどワンマンアーミーといっていいかもしれない。

 リーダーの職業が【ブラックスミス】というのが異色だ。

 自身の作った銃を試したいがために作られたパーティーで、最初の時はそれほど注目を集めていなかった。

 しかし、ダンジョン産の金属が出回り始めてからは一変した。

 火薬の代わりに魔石粉を使い、弾薬を作成。

 ダンジョン産の金属製銃身で打ち出された弾丸は、一瞬にしてモンスターを屠ったそうだ。

 サブリーダーは【薬師】で、さらにスキル【各種属性付与】なるユニークスキルを有しており、作られた弾丸に複数の属性付与を行い火力の底上げを担っていた。

 他のメンバーも実は生産職で構成されており、ダンジョン攻略としては世界を見ても異色中の異色だった。


第5位 「難攻不落の城壁」

 そして最後に、團姉弟のパーティーだ。

 弟の龍之介君を起点として、バランスの取れたパーティーで、由貴乃さんのリーダー姿も板についていた。

 時折ダンジョンから戻ると、国営放送でインタビューを受けているのを拝見した。

 廚さん、遠藤君、福田君もどんどん成長しているみたいだな。

 きっと俺は追いつけないくらい先に行ってしまったな。


 現在トップ5の探索者パーティーは、【富士の樹海ダンジョン】を探索していた。

 自衛隊の捜索で、このダンジョンが日本最高峰のAランクに唯一認定されているのだ。

 Aランクダンジョンに入れるのはAランク探索者だけ。

 それがルールである以上、彼らがそこへ向かうのは当たり前だった。

 日本政府からも探索を命じられており、補助金もかなりの額が出ているそうだ。


 首都圏の奪還も二面作戦で進めており、そちらはBランクパーティーが担当している。

 各所にあるBランクダンジョンもBランクが担当。

 小さなダンジョンはC以下のランクパーティーの担当だ。


 カイリ達も先日ランクがBにあがったこともあり、首都奪還作戦に参加するとことが決まったようだ。

 現在も一ノ瀬さんの部下の自衛官がフォローについてくれており、無理をしなければ問題ないと思う。


 かくいう俺は今だCランクだったりする。

 そりゃまだレベルが追い付いていないんだから。


 そして俺はと言うと、ついにスキルレベルが40を超える物も出始めた。

 自分のレベルは相も変わらず43が最高だ。

 なので、一息つくとまた戻ってレベルを上げてって作業を、永遠と繰り返していた。


 最初はこのスキルで最強になれるかもって思ったこともあったけど、全然そんなことはなかった。

 むしろ、成長に足かせが付けられている気がしてならない。


 それに【スキルアップデート】が【スキルクリエイター】に効果が無かったのがつらい。

 スキルクリエイターおよび派生スキルは、対象にならないようだった。

 ただ、何度もスキルのレベル上げや、取得を繰り返すことでレベルを上げることに成功はしていた。


スキル

 ユニーク:スキルクリエイター レベル3

      スキルアップグレード レベル3

      スキルカスタマイズ レベル1

      スキルコンバート レベル2

      レベルドレイン レベル6


 それと、いろいろわかってきてことがある。

 スキルクリエイターはレベルが上がると、より効率的にスキルを取得できるということだ。

 今はレベル3なので約30%ほど必要レベルが下がったように見える。

 スキルアプデートも同様に減少がみられた。

 正直1レベル2レベルだと気づかなかったけど、4レベル移行でおや?って違和感が生まれた。

 11レベルに上げた時、本来であれば10レベル必要なのに、8レベルになっていた。

 その時のスキルアプデ―トのスキルレベルが2。

 これで俺は確信した。

 スキルアプデ―トのレベル上げが出来れば、より効率的に強くなれるのではないかと。

 それからがむしゃらに使いまくった。

 そして現在はレベル3まで上げることができた。


 ただ、ここで疑問がある。

 俺のスキル、スキルクリエイターはスキルを“取得”ではなく“創造”出来るはずなんだが、今はまだそれが発揮できていない。

 他に何か条件があるのかもしれなが、全く持って不明だった。

 こればっかりは今はまだどうにもできないのかもしれない。


 それと【レベルドレイン】が思いのほかえぐい性能なことが判明した。

 最初レベル1の時はスライムから10の経験値を得ることができた。

 しかし今レベル6になり60の経験値になっている。

 元の60倍の経験値だ。

 このことからおそらくだけど、もともと取得していた経験値って【生命レベル】を経験値に換算したときの1%しか取得できていないんじゃないのかと思った。

 そう考えると、本来のレベル上げが非効率なのではないかと思えてきた。

 レベル1の状態からスライムにレベルドレインを使うと、一気にレベルが10まで上がってしまうから笑える。


 さて次のステップだ。

 Bランクへの昇格を目指そう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る