それってカスハラだよねぇ?【実話】【全5話】

Minc

それってカスハラだよねぇ?

 ホームセンターで働いていた時の話。私は品出しをしていた。サービスカウンターの後ろでカセットテープを補充していた。

 もうCDさえあまり見かけないこの世の中で実はカセットテープは売れている。徳に10分間のカセットテープ。

なんでかって?

ご老人たちがカラオケを録音するためだ。彼らはかたくなにカセットテープをご愛用してくださっているのだ。録音だって上書きだって簡単だものぉ。


 サービスカウンターでは

「〇〇様がご来店したらしい」

「店長をどうせ呼ばれるから今のうちに店長呼んで!」


 どうやら我が店舗のクレイマー〇〇様が来店したようだ。


(まぁ私には関係ないし)


 気にせず補充を続けていた。レジ周りは細かい物が多いので棚の段数も多い。下の段の物を補充するべくしゃがんでいた。


「邪魔なんだよっ!」

ドカッ!


 思いっきり後ろから蹴られてベチャッと前に両手をつく。振り向くと〇〇様。立ち上がって

「申し訳ございません」

 頭を下げる。


「〇〇様」

 店長、ようやく登場。

「おぉ!今日はよぉ、アレを買いに来たんだよ。アレ」


 私については何も言わない。そして彼は店長と振り返り向こうへ歩いて行った。


おぉぉぉいっ!ここ通らへんのんかぁい!!!

他人ひとを蹴ってまで通りたかったんちゃうんかぁい!!


それに私の顔の横に耳ついてますけどぉ?

「邪魔だ」

その一言でどきますけどぉ?


 そりゃさぁ!横にでかいわよ?通路ふさいでいたかもしれないよ?でも他にも通路あんじゃん!!こんなサービスカウンターの裏からわざわざご登場?


(クソがっ!)


 口には出しませんけどね。淑女ですからね。

 中指も出しませんよ。心の中で留めましたわよ。淑女ですからね。


 これってカスハラだよねぇ?

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