第2話 進め進め……とりあえずここまで③
少し高いく分厚い窓は街を抜け、畑や林を写していた。反射するのは落ち着いたモニカ、何かを描くキーノ、そしてエ⭐︎リ⭐︎カ
「なぜモニカさんを知ってるかって?それはやっぱり新聞に載ってたからですよ。キーノさんも覚えてます?あの教会解体事件。」
キーノが知ってると意思表示する。
「あれはすごかったですよ。なんせただの破壊ではなく文字通り解体、内側から分解していったんですからね。それを成し遂げたのはエリカさん含む専門家たち。」
「いやぁ、粛清もしたよ?解体なんて、うへっ…専門家?」
専門家とは嬉しいことを言ってくれる。周りからはカルトとか呼ばれてたからこうも面と向かって褒められると…ちょっと照れちゃうなぁ〜。
「なにを嬉しそうにしてるんですか…。そのせいでどこの神父や牧師もこの任務を手伝ってくれなかったんですよ?そもそも死んでたり、行方不明だったり、生きてたとしても目立つのを怖がって誰も。」
ん〜…なるほど、話が見えてきた。
「で、神父とかじゃなくとも民族学者でいいのではと。そこで新聞を思い出して、というわけです。」
「仕事から連鎖して次の仕事が生まれる。おかげで無職にはならなくてすむよ、助かるね〜。」
なんとなく会話が終了して、仕事が始まる前に三人で外の空気を吸いに行った。
その車両の梯子を登り、上に上がるとこの列車は砂漠に入っていた。列車はガタンゴトンと音を立てて揺れるが、案外歩けるほどに安定していて現代の科学技術を感じる。屋根となる部分には端に土嚢が積まれ、布で包まれた機関銃と思しきものが置かれていた。
列車は砂をかき分け、巻き上げ進んでいる。
「聞いたことあります?別の部隊の話なのですが、ある男がこの風景を見て『砂の海をモーセの様に割って進む』と呟いた、とか詩を書いた、とかしたそうですがその後秘密警察に連れて行かれたそうです。その男について何か知ってたりします?」
「前までいた部隊ではモーセ号っていうあだ名が付いていたぐらいしかないかなぁ。」
「怖い世の中になったなものだな。疑われる行為をせず、きちんと働いていれば何も問題はないが、最近宣伝部と保安部が対立しているせいで一応高官の私がどうも付けられている気がする。」
ひょえっ、そんなこともあるのか。行動を気をつけなければ。働く場所も気をつけなければ。ここは大丈夫か?
先頭の車両は送風機の様な掃除機をつけ、レールに積もった砂を吹き飛ばし、巻き上げ、モーセの様に砂を割り、計画的に、時間通りに、全てが順調に、列車全体が進んでいる。
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