かつて勇者と呼ばれた者の装備
テリヤキサンド
勇者、その軌跡
昔々、この世界は魔王という圧倒的な存在がいた。
魔王は目に見えるほどの暗闇にも見える魔力を使い、魔物を次々と生み出し、世界を蹂躙し始める。
世界の各国もそれを指を咥えてみていたわけではない。
強者共が魔物に対抗し、魔王へと挑もうとするも惨敗する。
誰も魔王に敵うものはいない。
人々に絶望が広がる中、その人は現れた。
かつて魔王に挑んだとされる強者の中でも頭一つ抜き出た実力を持つ男の息子とされる者。
期待ともに旅に出たその少年は魔物との戦闘を得て、成長していき、魔王の軍勢を押し返していく。
人々の中には希望が生まれ、人々の期待はその少年へと集まる。
そんな少年の活躍を聞いた強者達は少年への加勢を申し出るが、少年はそれを拒み、孤高に戦い続ける。
少年は全ての支援を断り、その身につけるのは己がダンジョンで手に入れた装備のみ。
何故、そこまで頑なに断り続けるのか?
自分が傷つくのはいい。
でも支援を受けた自分のせいで誰かが傷つくのは決して許せない。
少年はそういったのだ。
自分への支援のせいで魔物達の標的になるのを避けたいという意図があったようだ。
なんて謙虚で気高いことか。
そんな少年はやがて、魔王の元へと至り、見事討伐することに成功する。
魔王がいたために澱んでいた空が晴れていき、光が差し込む。
人々は歓喜に震え、世界に平和を成した少年をこう呼んだ。
勇者と
その勇者であるが、魔王を討伐した後の宴に参加した後、忽然と姿を消した。
後に残ったのは勇者が装備していた装備のみであった。
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