第10話 友達
「和真、その眼鏡度が入ってないだろ」
「え、何でわかったの?」
和真はずれた眼鏡を直しながら言った。
「歪みが見えないから、そうかな~と思ったけど当たってたんだ」
「うん、これで悪霊が見えなくなるといいなと思ってかけているけど全然ダメなんだ」
「よし、ちょっと待って」
そう言うと俺は二階の自分の部屋に行き裁縫セットを持って居間に戻った。
「お待たせ」
「どうしたの?」
「いや、和真が悪霊に困っているって聞いて俺の祓いの力で解決できないかなとおもてさ」
「解決できるの⁉」
「おう!俺が布に『護』って祓いの力を込めて縫えば悪霊は寄ってこない!でもこれから作るとなると遅くなるから間に合わせでこの『まもり』ってものをもっていってくれ。簡易番だが一週間くらいはもつと思う。それまでに完成させとくから」
そう言って俺は裁縫セットの中から赤い糸で刺繍されたお守りを和真に渡した。
「こんなに綺麗なもの本当にいいの?あ!お金は払うよ!」
「いや、間に合わせのものだからお金はいらない。それより帰らなくていいのか?送ってくぞ」
「絶対今話そらしたよね。今日は帰るよ。また遊びに来てもいい?」
「もちろん。そうだアオ」
《なんだい?柊》ワン?
「和真送っていきたいけど乗せてくれない?」
《フフ、柊の初めての友達だったね。仕方ないね、ほら庭に出な》ワフワフワン!
「やった。和真喜べ!アオが乗せてってくれるって」
「???どういうこと?アオさんには乗れないでしょ?」
「まあまあ、見て驚け。昨日見たのは本物だぞ。ほら荷物もって庭に出ろ」
「昨日?なんの…あ!」
「そう、昨日見たものの答え合わせをしよう」
そう言って俺たちは庭に出た。庭には今日学校に来ていたカラスたちが来ていた。
《柊―来たよー。あ!柊とじいちゃん以外の人間がいる!》カァッカァッカァー バサバサバサ
「うわ!びっくりした。もしかして今日学校に来ていたカラスたち?」
「正解!お前たち、こいつは和真、俺の友達、覚えておいて」
《わかったー》カァー
「じゃあアオお願い」
《仕方ないね》ワン ボフン
アオが大きく白く美しいオオカミの姿になった。
和真はアオがあまりにも綺麗すぎてぼーっとしていたので俺が和真の頬と軽く叩いた。
「和真しっかりしろ」
「え、あ!ごめんアオさんが綺麗すぎて言葉を失っていたよ」
「それはわかる。俺もそうだったから」
《さあ二人とも乗りな》
「あれ?なんか声が聞こえるんだけど…もしかしてアオさん!?」
《なんだい?声が聞こえるのかい?》
「は、はい!」
《フフフ、そんなにかしこまらなくていいよ。私は神格を得たオオカミでね。こんなこともできるのさ。すごいだろ?》
「はい!さっきのアオさんも素敵だったけどこの姿も素敵ですね!」
《…柊。》
「あぁ、アオが言いたいことはわかる気がする」
「《この子いい子すぎる!》」
《ゴホン!まあいい、速く乗りな》
アオが照れていることに俺はあえて突っ込まなかった。
「そうだな。じゃあ和真が前で、俺が後ろに乗ろう」
「何で僕が前なの?」
「だって俺和真の家知らないから。道案内も兼ねて景色を楽しもう!」
「そっか!わかった。じゃあアオさんお願いします」
そう言って俺たちはアオの背中に乗った。
「わあ、アオさんの背中涼しい!」
《ハハハ!昨日の柊と同じ反応、柊、いい友達を持ったな》
「そうだね」
《和真、また来な》シャー
《そうじゃの。また来るといい》ンナ~ゴ
《僕も和真にはまた来てほしい》カァカァ
《また来てね》キュッキュッ
「和真みんながまた来てだって」
「うん!また来ますシロさん、トラ爺さん、クロさん、シマさん」
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