第6話 子どもに好かれる?

 これは自分の場合なんですが。

 子どもに好かれる、ような気がします。

 家庭教師や塾講師のアルバイトをやっていた頃、生徒さんたちは、

「親には言えない」

「親に言っても分かってくれない」

「こんなん親に聞けない」

 という話、悩みを打ち明けてくれました。

 思春期の生徒さんに、

「先生オススメのえっちな本教えて」

 と、真顔かつ小声で聞かれたことも何度かあります。

「……なんで先生に聞くの?」

「親に聞けないから!」

「クラスの子、お子様だもん!」

 ……それでなんで先生にお鉢が回ってくるのかな?とりあえず、

「家庭の◯学っ!」

「……え。それってえっちな本なんですか?」

「人体の解説図が緻密!」

 今となっては懐かしい思い出(?)です。


 塾長の許可、家庭教師派遣会社の許可をいただいて、生徒さんとキャラクターグッズを買いに行ったり、本屋に行って、帰りにパスタ食べたり。楽しかったです。

 生徒さんに怒られることもありました。こういう時、自閉症スペクトラムの特徴「空気が読めない」「裏表がない」は上手く作動してくれましたね。自分はポカンとしちゃって、

(子どもでも怒ると迫力あるなぁ)

(この子がこんな理不尽な怒り方するんだなあ。新鮮だなあ)

 とか、やや的外れなこと考える。だから怒りに怒りの応酬にはならなかったですねー。生徒さんもクールダウンして、

(先生怒らないのかなあ)

 みたいな感じになる。自分は、

「いや新鮮だなあ。君がこんな怒るなんて」

 と、明らかに空気読めてないことを、裏表なく言っちゃうので、生徒さんも、

「何それー」

 って更にクールダウンして、笑ったりする。そういう時に、

「なんかやなことあったの?」

 とか聞くと、

「実は面談で……」

「技術の先生が……」

「テストばっかりでイライラしてた……」

 ああ、子どもが怒るって、ちゃんとした理由あるんだなあ、と思いました。そういう日はいつもより長めに雑談したりして、コミュニケーションとるようにしました。

 懐かしくて、なかなか楽しい思い出です。


 

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