第4話 感覚鈍麻
えー、自分を含む自閉症スペクトラムの人の特徴です。
感覚鈍麻。
読んで字のごとく、特定の感覚が鈍い。
例えばガラスや黒板を、鋭利な切っ先でキーッ、キーッてやると独特な音出るでしょ。自分は子どもの頃、いじめられっ子だったから、いじめっ子に黒板キーッをやられたんだよね。でも自分、キーッ音が平気。聴力に問題あるとかじゃない。ただ嫌な音と認識されない。へーそれが何かという顔をしていたので、白けたいじめっ子は去って行った。
あと今はマシになったけど、子どもの頃は空腹とか喉の渇きとか分からんかったもん。だから親に、
「お腹空いたでしょ?ご飯食べよう」
って言われても、
「いや、空いてないよ」。
ただ空腹感じないだけで、実際は腹ペコなわけだから、食事出されると食べる。親は、
「どうしてお腹空いたって言わないの。餓鬼みたいに食べるね」
と嗤ってた。
この感覚鈍麻も、親が私を気味悪がって嫌う一因だったと思う。
でも空腹が認識出来ない。
空腹を認識出来ないことが分からない。
だから我ながらどうしようもなかった。結局、食事してから五時間くらい経てば何か食べられるという経験知に依拠して、なんとかやってる。
長じて同じ自閉症スペクトラムの友人に聞いたけど、やっぱり空腹、喉の渇きを認識するのが不得手だと言ってた。ただそれで親に馬鹿にされたり疎まれたりしたことはないとも。
自閉症スペクトラムの子どもと毒親。
自分の特性が理解出来ない子どもと、搾取子の個性・人権なんか知るかという親。
最悪の組み合わせだと思う。
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