第24話 入院
「あー、お兄ちゃんようやく起きたー。」
「‥‥‥オレは、何日眠ってたんだ?」
「運ばれてから1時間くらい?」
「随分短いな、おい」
「で、今は勘弁してあげるけど、あとでいろいろ説明してよねっ」
「はい‥‥‥。」
星華が女教師モードになってしまった。
クソが付くほど真面目な性格の星華は、こうなってしまうと追及の手は緩めないだろう。
どうにかうまい言い訳はないものかと頭を巡らせる前に、気になっていることを聞いてみる。
「‥‥‥にゃあ助は?」
「家で寝てるよ」
ああ、よかった。
もし、オレを助けるためににゃあ助がどうにかなってしまっていたら、オレは自分を許せなくなるだろう。
大きな懸念が晴れたところで、いろいろ疑問がわいてきた。
「オレは、どうやって運ばれたんだ?」
「救急車」
「オレを攻撃したゴブリンはどうなった?」
「にゃあ助が倒した?」
「救急車を呼んでくれたのは?」
「環那お姉ちゃんと私。」
「え、えーと、じゃあ、環那と星華を呼びに行ったのは?」
「にゃあ助」
「えーと、えーと、そのにゃあ助ってうちのにゃあ助さんですよね? それとも別の忍ネコとか? その人何者?」
「にゃあ助はにゃあ助だよ? なぜかお話しできるようになったけど」
「うーん、たしかにたまににゃあ助の心の言葉みたいなのが聞こえたような気がしたことはあったけど? そこまで明確にお話しできるってことはなかったような‥‥‥?」
「ほんと、私もびっくりしちゃった。賢いのは知ってたけど、意思疎通できて、
それにあんなに強いなんて。」
「強い‥‥‥、そうだ、にゃあ助がゴブリン斃したって本当? 一体どうやって?」
「ネコパンチびしばしやって倒してたよ?」
「ん? 星華はその時見てたのか?」
その辺の話を聞いて整理してみると、オレが意識を失ってからにゃあ助がオレに襲い掛かったゴブリンをどうにか追っ払い、家に戻って星華と環那を呼びに行ったと。
で、呼ばれた星華たちがスライムを斃しながら‥‥‥え?
星華と環那がスライム倒したんですか?
なんかツッコミどころ満載で混乱してきた。
まあ、スライムの件は後回しにして全体の流れを追うと、呼ばれた星華と環那がにゃあ助を追っかけて行ったら、オレに襲い掛かろうとしていたゴブリンをにゃあ助がネコパンチでやっつけたと。
うん、ツッコミどころはとりあえず置いておくとして、オレって結構シビアなタイミングで助けてもらってたのね。
最初、にゃあ助がオレを襲ったゴブリンを追い払い。
で、星華たちを呼びに行って戻ってくるまでの間に襲われていたらオレは助からなかったはずだ。
でも、そうやってオレのそばを離れたってことは、もしかしたらその話に出てくるスーパーにゃあ助さんは、その間はゴブリンが襲ってこないことをわかっていたのかな?
謎は深まるな。
まあ、家に帰ってにゃあ助に聞いてみればいいか。
幸い、にゃあ助はなぜか意思疎通できるようになったみたいだし。
「よし、じゃあ家に帰るか!」
「何言ってるのお兄ちゃん? 無理だよ?」
「へ? なんで?」
「だって、お兄ちゃん今日から1週間の入院だよ?」
「入院かあ‥‥‥」
「じゃあ、着替えとかこのバッグに入ってるから。明日も学校あるから今日のところは私は帰るね。またあとで、いろいろ説明してもらうから。」
「あ、ああ。ありがとうな。」
ふと窓の外を見るとすでに薄暗い。
時計を見ると午後7時を過ぎたところ。
そういえば腹減ったな。
夕食食ってねえもんな。
そう思ったところで、星華が声を掛けてくれたのか病院の看護師さんが夕食を持ってきてくれた。
そして今後の見通しの説明。
明日手術なんですか。午後からですね。
はい、ごちそうさまでした。ちょっと足りませんが。
その後は携帯端末で環那にお礼をしたり、ザワさんに事情を説明して明日の『暴熊』のダンジョンアタックに行けなくなったことを詫びたり、すてに星華から連絡の行っていた叔母に怒られたりとしながら消灯時間を迎えて眠りについた。
◇ ◇ ◇ ◇
翌日。
‥‥‥痛え。
手術が終わって病室に戻ってきたが、腕が手術前よりも痛い。
手術は部分麻酔で行われて、折れた骨が曲がってくっつかないように腕を切り開いて骨の工事したりして、麻酔されているのに自分の腕がアレコレされている感覚を味わい、麻酔が解けるとこの激痛だ。
折れた骨というより、切開されて縫われた腕の傷が痛い。
そうして痛みにもだえていると、学校が終わった環那と星華が病室にやってくる。
「さて、あいせー? 言い訳は考えた?」
「イタイヨーイタイヨー」
「お兄ちゃん? 昨日痛がってなかったよね?」
「ホントニイタインダヨー」
そこに現れる看護師さん。
痛み止めくれません?
ああ、これですね。
坐薬ですか。
でも、オレ左腕と肋骨固定されてるんですよね。
右手だけでうまく差せるかな?
星華? 嫌ですかそうですか。
環那? いやいや、なんでやる気になってるんですか?
結局看護師さんにお願いし、その日は薬の影響もあって早々と眠りについたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます