第10話 有能で頼りになるパパ
-side ラルク-
「おわっったー!」
「お疲れ、ラルク」
無事にダンジョンまでの道を整備し終わった。
これで、明日以降ダンジョンへ石を貰いに行くのがとても楽になる。
パパ最初は驚いていたものの、途中からは慣れたのか黙ってみて時どき通る人には今道を整備していることを説明してくれたり、最終的にはセバスさんも来て色々サポートしてくれていた。
みんな終始何か言いたそうにしていたが、とはいえ早く道を整備することのメリットも分かっているので黙って見てくれていた。
「眠たい」
流石に、2歳児の体に負担をかけすぎたみたいだ。むにゃむにゃしていると、父上が抱っこしてくれる。
「うん、お疲れ。色々聞きたいことはあるけれど、よく頑張ったねアクシア。ゆっくり休んでくれ」
それを最後に俺はストーンと眠りに落ちたのだった。本当に良いパパン。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
ーside ゼクスー
「さて、ラルクのことだが?」
「分かっております。ダンジョンに行った時からすごいとはおもていましたが、あれは神童。間違いなく、他の貴族に目をつけられます」
「どうやって、この子を守るかは今後の課題だが、まずは長年の課題だった道を整備できたことを喜ぼう」
「そうですね、ラルク様は必ず我々が守ります」
「ああ。この子はまだまだ道を整備するつもりだから、目立たないようにするのは無理だと思うけれど、きっと目立ってもそれを力でねじ伏せられるくらい強くなるよ」
「力こそパワー。脳筋こそ正義ですからね」
「ああ」
なんとも、頼りない2人による脳筋の会話だが、これを機にますます家族や領民から愛されたラルクだったのだった。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
ーside ラルクー
「さて、ラルク。昨日の魔法のことだが」
きたね……どんな質問でもかかってこいや。どうとでもなれ!と身構える。
昨日は屋敷の道の整備とダンジョンの道の整備両方とも行った。俺は盛大にやりすぎたのだ。
「他の領地の部分ももっとやってくれないか?」
「えっ」
予想に反してパパンは何も聞かなかった。
何も聞かないの?色々聞きたそうな顔をしているのに。
「なぜ聞かないのかって?」
「……!」
心を読まれた!?
「別に聞いたところで俺がそれをどうすることはできないだろう?それに、俺がそれを聞いたために、ラルクの自由を奪うことは嫌だからな」
ポカーン!パパン。そんな気遣いができる人だったんだ。流石腐っても貴族の当主すごい。
「基本はラルクの自由にさせる。ラルクのできないところはサポートする。それが親っていうものだ」
有能パパンかっけー!これからは、色々相談しよう。
俺が転生したことについてはまだ話す勇気はないけれど、いずれ話せる時がきたらいいな。
「パパン」
「ん?」
「ありがと。次からは相談する」
「そうかそうか」
そう言って、パパンは俺のことを大きな手でなでなでしたのだった。
想像以上に優しくて有能で頼り甲斐があるパパンなのでした。
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