素材採取用作業ダンジョン廃探索〜幸せ貧乏田舎貴族に転生したのでクラフトスキルで領地を富ませます〜

西園寺若葉

第1話 転生

-side ラルク-



「どうか安らかに」



 忙しすぎて疲れ果てた俺が病院での母親からの最後の言葉。

 お父さん、お母さん、妹ちゃん、そしてこれまでお世話になった友達や会社のみんなや近所の人たち、今までありがとう。



  ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



「いらっしゃい」



 目を覚ますと女神様がティータイムをしている真っ最中だった。なんで女神様なんだろう?と思ったけど、そう思っちゃうのだから仕方ない。

 えーっとなんて言えばいいんだろ?こういう時はまず挨拶しなきゃだな。

 


「こんにちはー」

「ふふっ!こんにちは」



 なんとなく、声を聞くと落ち着く。ここに来るのは初めてのはずなのに、まるでいつも住んでいる家みたいにどこか知っている雰囲気な感じがする。

 

 

「まあまあ、座って座って!ここにあるものいっぱい食べていいから!」

「あ、ありがとうございます」



 豪華なアフタヌーンティーのセットがテーブルに置いてある。スコーンにクリームと苺ジャムを塗って食べる。一口食べるとこの世のものとは思えないほど美味しい。

 


「それで神様が何の御用でしょうか?自分が魂の状態なのは分かりますが、この後はどうすればいいんですか?モフモゴモゴ……」

「まあまあ、落ち着いて。それを飲み込んだら話すわ」

 


 そう言われたので、急いで紅茶を飲んで口の中にあるものを流し込む。



「落ち着いたかしら?」

「はい」

「じゃあ、これからのあなたの事について話し合うわね」



 俺はこくりと頷く。



「まず貴方にはこれから異世界転生をしてもらいます」



 えっ……えっ……えっ……!?

 異世界転生だと!?!?!?

 キターーーーーーー!!


 

「ふふふっ!喜んでくれて何よりだわ!それで転生特典何だけど、ここにあるものから選んでいいわ!」



 ふむふむ。神様が見せてきた石板に書いてあるのは、よくあるチートもののスキルばかりだ。

 全属性、魔力量極限、剣術などのスキルから、剣聖、賢者、聖女などのジョブまで様々書かれている。



「うーむ、どれも楽しそうではあるけれど、俺の好みでは無いかなあ」

「へー?君の好みって何かしら?」

「素材採取です」

「へ?」

「素材採取なのです!ついでにクラフト。これまで俺はマインドクラフトを廃人プレーしてました。とても楽しいんですよ!あのゲーム」



 俺はそう言ってにっこりと笑う。


 

「あっ・・・(察し)」



 女神様は目が点になり、遠い目をして何かを諦めた表情をしている。



「それじゃあ、そうね、そんな君にあうようなスキルをあげるわ。それだけじゃちょっと心配だから、一応ここのスキルももっとくといいわ。全属性魔法と剣聖の組み合わせは結構お得よ?」

「じゃあ、そうします」

「残念ながらどこの環境に転生するかは完全にランダムだけど、そのためのスキルではあるからそこはご了承ください」

「分かりました」

「ふふっ…とは言ってもいきなり奴隷に転生とかは無いから安心して。万が一何かのミスであったとしてもあたしの加護をあげてるからすぐに奴隷の契約はとけるわ!私の加護は状態異常無効だから」

「分かりました!色々ありがとうございます」

「うん!あ……とこれから行くところの世界については……君は大体想像ついてそうね、文明レベルは中世のヨーロッパくらい、様々な魔物がいて、剣と魔法、そしてダンジョンがある世界よ。もちろん色々素材採取をしたりクラフトできたりするわ!」

「やったーー!」



 まさしく典型的な異世界転生で俺は万歳する。喜んでいると俺の体が急に光だして、薄くなり出した。



「そろそろ時間のようね」

「そのようですね」

「向こうに行って記憶を取り戻したら、教会に行けるかしら?お祈りしたらまた会えるかもしれないわ!」

「分かりました!色々お世話になりましたし、必ずお返しとして貢物持っていきます!」

「貢物って……言い方言い方」

「アハハ!」

「君、くれぐれも気をつけてね。一応前世のようにならないために、忙しくしても大丈夫な体には作り変えておいたから」

「ありがとうございます!」

「じゃ!楽しんで!」

「はい」



 --良き旅を!



 そう聞こえたのを最後に俺は天界から異世界に旅立ったのだった。

 

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