3日目

日記は、3日目に突入。


ああ頭を掻き毟りたい。

ああ心臓を掻き毟りたい。

ああ魂魄こんぱくを掻き毟りたい。

このままだと、

発狂しそうだ。

焦燥感が焦燥感を呼んで、

友達になって、

意外にも恋に落ちたりして、

ゆくゆくはプロポーズしたりして。

何の話だったっけ。


とにかく、

焦燥感が加速度的に強くなっていく。

こんな口先だけの戯言ざれごとなんて、

誰も聞く耳を持つまい。

いや、

聞き流してくれて結構。

むしろ、

相手にしないほうがいい。

放っておくのが一番だ。

眼から鱗でも、

眼からダイヤモンドでも落ちるがいい。

感動がないんだよ。

深みがないんだよ。

人情がないんだよ。

とどのつまり、

何にもないんだよ。

くそったれって、

悔しがる熱量なんて、

地球の裏側の海に沈めてきてしまったように、

元気も勇気もないんだよ。


親が毎日勤勉に

働いてくれているっていうのに、

そんな親から、

どうして、

こんな蛇の抜け殻みたいな

出来損ないの突然変異みたいな、

人間が生まれてきたんだろう。

不思議だ。

摩訶不思議だ。

世界の七不思議に加えたいくらいだ。

このぶんだと、

親には一生涯、

頭が上がらないな。

とにかく、

親には本当に感謝している。


それにしても、

部屋にある時計の秒針の音が、

心臓を突き刺すように響いていく。

時よ。

ああ待ってくれ。

ああ置いていかないで。

本当は優しい良い奴なんだ。

そう思われたいんだ。

要するに可哀想な奴なんだ。

こんな書き殴りの文章で、

なんとか持ってる命なんだよ。

おやおや、

最後は開き直りかい?

このに及んで、

まだ生命力の双葉が生えてきたらしい。

いい根性してるぜ。

案外、

肝っ玉は強かったりして。

まさかね。

火事場の馬鹿力で、

なんとか生き繋いでいるだけさ。

望むのは一つだけ。

後世に残るような、

銀色にかがやく、

一編の詩を書きたい。

なんだ、

普通の夢じゃないか。

しかし、

その普通の夢を叶えるのが、

予想を遥かに超えて難しいんだよ。




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