どうかわたしを嫌いにならないでください
鳩見紫音
『好き』が一番嫌い
「好き」
そんな一言が頭の中でぐるぐる巡っている。
片桐 悠里(かたぎり ゆうり)の頭の中にある機雷はその一言により起爆し続ける。
嫌われたいわけじゃない。でも好かれたいわけじゃない
ただその一言が一番嫌いな言葉なのは確かだった。
「大丈夫?ほらこっちだよ!」
彼女は輝いて見えた。
人間が嫌になって木の上に登った。高いところに登ることで何かがわかると思ったけど何もわからない。ただ明るいということしかわからなかった。
明るい中になにかないか探していて、気づいたらどんどんあたりが暗くなって公園には誰もいなくなる。
どうしようどうしよう
小学生の女の子の声じゃ小さくて助けを呼んでも周りに届かない。
どうしようどうしよう
登れるなら降りることもできると思ったら下の方が暗くなり怖くてすくんでしまう
「誰か・・・助けてよ」
そう呟いた時だった。下から明るく何かを感じる
「大丈夫?ほら!こっちだよ!」
下からとても明るい光のような声が聞こえ、どこに足をかけて降りるか、導いてくれた。
一つ、また一つ、そうやって示される光の道筋のような声に従って少しずつ降りていく、高いところから低いところへゆっくりと、降りる頃には周りが真っ暗になっていたのを覚えてる。
そんな暗い中、ただ見えたのは目の前にいる少女のきらきらの笑顔。よかったねよかったねと何度も言ってくれたのが嬉しくて涙が出てきた
その涙を見て笑顔の少女は困惑してたのを未だに忘れられない。
ただ「ありがとう」という言葉に「いいよー」と返してくれる
なんで見つけてくれたのか、助けてくれたのか聞いたら一言「好きだから」と言って「えへへ」と笑ってその子は帰ってしまった。
翌日もその次の日その次の次の日も探していたけどその子はいなかった。
その次の次の次の日もずっと探した。忘れるなんてありえない
出会うまで、忘れるはずがない。
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