幽霊アパートへお引越し

第1話

会社へ行くと


閉鎖されてた。


 鍵がかかり

【お世話になりました】と書いた、薄っぺらい紙がヒラヒラと頼りなさげに貼ってあった。


アブナイアブナイと言われていたが、せめてもう少し頑張らんかいっ!


小汚いドアを思いっきり蹴飛ばし、つま先に感じる痛さに現実を見つめる。


「あー!今日飛んだか!」

背中から聞こえた声に振り向くと、隣の席の鈴木さんが立っていた。


「すずきさーん」

ひとつ上の先輩に泣きつくと


「今月はなんとかなるかと思ってたけど、退職金も今月の給料も無しかー。あきらめるしかない」


あきらめ早いよ鈴木さん。

半分泣き顔の私と

女だけど男らしいクールな鈴木さん。


 感情に浸る間も無く

それから怖い顔した債権者さんがバッタバッタと現れ、鈴木さんはいつの間にか姿を消し、私は巻き添えをくらう前にトボトボと背中を丸めて家に帰る。


あーぁ

せめて

今月の給料は欲しかった。明日からの生活はどうなるんだろう。


まずは、同居人の優一に相談して

今後の事を考えようとしていたら







 同居人がテレビと電子レンジと私の隠しておいた現金を持って




 部屋を出てました。

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