第29話 南極海にて 修正版

 23年に発表した「政宗が秀吉を殺していたら」の修正版です。実はPCの操作ミスで編集作業ができなくなり、新しいページで再開したものです。表現や文言を一部修正しております。もう一度読み直していただければと思います。


空想時代小説


 ケープタウンから離れて3日目、

「あれはなんだ!」

 と見張りの甲板員が叫んだ。巨大な白い物が近づいてくる。マルコ神父が

「あれは流氷です。南極の氷が砕けて流れてきたのでしょう。近づくと危ないです。あの氷の下は大きな岩と同じです。流氷にぶつかって沈む船もいます」

 皆、初めて見る流氷に呆気にとられている。それにしても寒い。濾過樽用の炭がなければ凍え死んでしまうところだった。幸いなことに風があったので、船は帆を張って進むことができた。水夫たちは、櫓を引き揚げて全ての穴をふさいだ。風が入るのを防いだのである。水夫たちは体を寄せ合って寝た。

 政宗は高熱をだしていた。太田と守之助(29才)が交替で看病している。きれいなさらしがないので、使うたびに洗っていたが、さらしが凍ってしまい、乾かすのに苦労した。消毒用の酒も不足してきている。船内は禁酒となっていたが、だれも文句は言わなかった。

 ケープタウンを出て7日目、遠目のきく一豊(26才)が遠くに煙がたつのを見た。長房は、船首をそちらに向けさせた。甲板員に警戒させた。海賊の煙かもしれないからだ。

 近くへ行くと、そこは島にある小さな港であった。早舟で入港すると、そこにはエゲレス人がいた。イスパニア語を話すとまた襲われるかもしれないので、身振り手振りで補給品を確保した。持ってきた金銀の力は大きい。

 補給担当の横山隼人は、酒とさらしになる布の確保もした。医者をさがしたが、いそうもなかった。そこで隼人はエゲレス人の前で、刀を抜き自分の左腕を傷つけた。血がにじんできた。それを見たエゲレス人は、びんに入った薬をもってきた。消毒薬であろう。それが乾くと塗り薬をつけた。これが治療薬だということはわかった。その薬を譲ってくれるように頼んだ。が、なかなか譲ってくれない。結局、金を一粒ずつ見せて、向こうが納得するまで積み上げた。予想外の出費だった。

 隼人が船にもどると、皆から喜ばれた。水や食料がなくなりかけていたのだ。入手した薬を早速政宗に施してみた。翌日には、政宗の熱が引いていた。皆、ホッとした。その後、いくつかの港により、インド洋横断のための食料を補充していった。水は樽を増やすわけにはいかないので、雨頼みだった。めざすはコロンボである。

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