第22話 ルソン出航 修正版

 23年に発表した「政宗が秀吉を殺していたら」の修正版です。実はPCの操作ミスで編集作業ができなくなり、新しいページで再開したものです。表現や文言を一部修正しております。もう一度読み直していただければと思います。


空想時代小説


 雨季が始まる前の4月、日の本ジパング号は出航した。総勢200名の航海である。まずはマラッカ海峡のシンガプーラ(シンガポール)をめざした。航海は順調だったが、海賊が横行する海域である。夜であっても見張りを怠ることができなかった。

 10日でシンガプーラに着いた。ここはマラッカ王国の都市だったが、最近ポルトガルに侵攻され、戦乱の跡がいたるところにあった。それでも、水と食料の補給はできた。政宗(53才)が用意した金銀は効果大であった。しかし、この取引を見ている集団がいた。海賊シャチの一団である。

 早々にシンガプーラを出航した。静かな風が吹いていたので、櫓をこぐ水夫は休ませて10人ほどの甲板員が見張りをしながら操舵していた。新月なので、星がきれいに見える。北極星ではなく、南十字星が羅針盤となっている。

 その夜、海賊集団が襲撃してきた。10艘ほどの小舟で静かに接近してきて船べりに鉤のついた縄をかけて登ってきた。見張りは黒ずくめの海賊集団の襲撃に気づかなかった。見張りの内、2人が首を斬られて即死した。操舵を担当していた航海士の横山隼人(24才)が異変を感じた。操舵手は甲板より一段高いところにいるので、甲板にあるかがり火によってわかったのである。

「曲者だ!」

 その声で、他の甲板員は刀を握った。甲板員は短めの日本刀を持っている。いたる所で斬り合いが始まった。海賊はおよそ20人。政宗勢は劣勢である。船長室から長房(25才)も出てきた。長房は大事な舵を守りに階段を登った。そこに海賊の一人が向かってきた。長房は背を向けている。危ないと思われた瞬間、海賊は倒れた。手裏剣によって死んでいる。長房が手裏剣がとんできたところを見ると、そこには横山隼人がいた。

「長房殿、舵を!」

 と言い、忍び方と手裏剣で次々と海賊を倒していく。船室へ侵入されたら政宗や金銀がねらわれる。隼人は必死になって戦った。10人ほど倒したところで、海賊は引き揚げていった。海賊の仲間を連れて、また襲ってくるかもしれないので、水夫を起こして全力でその海域から離脱した。狭い海峡なので、全力で行くのは座礁の危険性があったが、南十字星と海図が方向を示してくれていた。

 政宗が二人にねぎらいの言葉をかけた。

「船を守るのは、我らのつとめ。あたり前のことでございます。ところで隼人殿は忍びだったのですか?」

「長房に教えていなかったな。我が家中の忍び集団黒はばき組の頭領横山左膳(50才)の息子じゃ。次男坊ゆえ、わしについてきたのじゃ」

「そうでありましたか。頼もしき存在ですな」

「そうだ。今のうちに家中の主な家臣団を紹介しておこう。隼人、例の6人をわしの部屋へ連れてきてくれ」

「はっ、わかりました」

 と言って、隼人は6人の武士を連れてきた。

「この面々がわしの警護でついてきた家臣じゃ。年の順に紹介させよう」

「拙者は太田光三(30才)。お館さまの身辺警護が任務でござる」

「太田は長房も知っておるな。わしの親衛隊長だ。剣の達人じゃぞ。新陰流の免許皆伝だぞ」

「拙者は、佐藤新九郎(28才)でござる。金銀の警護が任務でござる」

「新九郎も剣の達人じゃ。一刀流の免許皆伝だったな」

「はっ、それでは黒田と交代します」

 と新九郎は言って、隣室にいる黒田と交代した。そこが金銀の保管室となっている。

「拙者は黒田守之助(27才)でござる。新九郎殿とともに金銀を守っております」

「守之助は吹き矢の名人じゃ。ねらわれたら一発で死ぬぞ」

「拙者は、大場作左衛門(25才)でござる。水夫頭をしております」

「見たとおり怪力の持ち主じゃ」

「拙者は扇谷一豊(25才)でござる。甲板長をしております」

「長房もよく知っておるな。遠目と夜目が利く。弓矢の達人でもあるぞ」

「拙者は遠藤又右エ門(25才)。鉄砲頭でござる」

「これも長房は知っておるな。鉄砲だけでなく、大砲の扱いにも慣れておる。そして横山隼人(24才)航海士だ。以上、江戸7人衆だ」

「以前より並みの方々ではないと思っておりました。頼もしく思います。今後とも、よろしくお願いいたす」

「こちらこそ」

 遅い顔合わせがやっとできた。

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