3話「送られてきたタマゴのような化石」

 オリオーラそっとボックスの底をアリンナに見せた。

ボックスの箱の底に木の棒で掘られミミズが這ったような文字が見える。これはメッセージだろうか。それにしても短すぎる。考えているとオリオーラーが読んでくれた。


オリオーラ『オリオーラへ ミスター. ディラン』


アリンナは動揺し驚いた。


アリンナ「えっ!?……ほ、本当に本人からなの!?」


オリオーラ「そうだと思います。歪ですけど筆跡が兄に似ていますし……。何より家の庭にこんな荷物届く筈ないんです。普通の宅配業者なら郵便受けか、玄関前に置いている宅配ボックスの中とかに置きますよね」


アリンナ「えぇ。でもご両親がネットとかで荷物を置く場所を指定したとかじゃないの?」


オリオーラは「それはありえない」と否定した。実家暮らしの彼女はボックスを見つけたその日両親にも聞いてみたが、ここ数日はネットや電話等通販のたぐいはしていないそうだ。だったらオリオーラ自身ではないだろうかと疑問を持ったが、そうだとしたらわざわざ会社に持ってきてまでアリンナに見せるのもおかしな話である。


オリオーラ「あたし気になってボックスの中を見たんですけど……。余計に意味が分からなくなってしまって……。先輩なら何か分かるかもと思い持って来ました」


ボックスの上蓋を開け両手で中の物を取り出し机の上に静かに置いた。見たままいうと大きさはダチョウの卵よりも小さめの卵形の石だった。2人の会話が室内にいる全員に聞こえていたようで、野次馬のように社員数名が集まり皆がボックスやその石を見ていた。1人の男性社員が石を見てポツリと話す。


男性社員「まるでタマゴの化石みたいですね。残念ですが、この会社には鉱物専門の人はいませんよ」


オリオーラは肩を落とした。しかしアリンナはバタバタと出かける準備をし始めた。そしてオリオーラに伝える。


アリンナ「オリオーラ、今から出かけるわよ!さっとその石ボックスに閉まって、準備して!!」


オリオーラ「準備ってなんですか!?先輩慌てて何処に行くんですか?教えてくださいよ〜」


オリオーラは全く状況が飲み込めない。それは他の社員に聞いても同じ事だった。ただ1人アリンナだけが分かり行動に移している。


アリンナ「説明は着いたあとでするわ。だからそのボックスを持ってわたしと一緒にとある場所に来て貰いたいの」


オリオーラは指示通り準備を整えた。そしてオペレーション室を出た廊下でアリンナに尋ねた。


オリオーラ「先輩、総務課は行けますか?」


アリンナ「そんな余裕はないわ。悪いけど今日は諦めなさい」


局長に外出許可をもらいアリンナ達はタクシーでとある場所へ向かうのだった。


3話(完)続く⭐︎彡

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