第31話 病院探索

紅欲とエータとの突発戦闘を終えた俺たち。紅欲とエータはそれぞれ姿を消し、獣神教の奴らもいつの間にかに姿を消していた。残った俺たちは例のバーで一休みしている。


「そんでその紙には何が書いてあんだよ?」


紙を持つ俺に全員が視線を向ける。龍二に言われるまま俺は紙を開き見る。


「それが変な文章が書いてある」


紅欲から手に入れた手紙には変な謎めいた文章で書いてあった。


「なんて書いてあるんだい?」


隼人は手紙に書いてある文章を読む。


「明日、私欲を満たす廃火は消え、星座が265の刻を過ごした要塞に住まう水蛇の洞穴の奥、夜明かり眠り待ち続ける空を短針が指す時、我々はあなた方を歓迎しよう」

「星座が265の刻を過ごした」

「要塞に住まう水蛇洞穴の奥」

「夜明かり眠り待ち続ける空を短針が指す時」

「ってなんだよこれ?」


厨二心をくすぐる謎めいた文書。それに全員が困惑する。その文章にシャーロットが探偵らしく一早く考察を始める。


「面白い!なんとも探偵心をくすぐる文面だ。これこそ探偵の出番じゃないか!まずこの怪奇文書には恐らく場所と時間が書かれてる。そしてそこに当てはまる文がここだ」


シャーロットがそう言って最初に指したのは『星座が・・・・・・・・・洞穴の奥』のところだ。


「星座が265の刻を過ごした。これは何かの年月を示していると思う」

「星座が刻を過ごすとなると265年ってことか?」


星座の周期は確か地球の公転の周期と同じ、つまり1年だ。つまりこの部分は265年を示しているということか。


「雨宮君の言う通り、恐らくこれは265年を指していると思われる」

「だが265年ってそんなピンポイントに昔のものがあるところってあるのか?」

「いや、文章をよく見ると過ごしたと書いてある。つまりこの265年は特定の時間ではなく経過した歳月だと考えられる。そしてこの日本で265年の歳月を得た時代は江戸幕府よ」

「どうして江戸幕府ってことになんだ?」


シャーロットの江戸幕府と言う答えに龍二が理由を聞いた。それにシャーロットは澱まず答える。


「単純に江戸幕府の開幕から大政奉還までの期間が265年って言うのはあるけど、最初の私欲を満たす廃火、これは天下統一のこと。江戸時代の前の戦国時代は織田信長をはじめとする人物達が天下統一を目指し戦をしていた。それにより多くの土地はまさに荒れ人々は繁栄と困窮の最中にいた。まさしく私欲を満たす廃火。そしてそれが消えて265年の歳月と言えば。もうお分かりでしょ?」

「その推測で行くと可能性があるのはここですね」

「・・・江島大学病院」


ワトソンがタブレットで見せてきたのはここら辺で一番デカい総合病院だ。


「ここを経営している江島大学は江戸時代に流行した性病を機に躍進し、今では関東一の病院まで駆け上がって歴史があります」

「これはもうここで決定かな」

「病院も許可無しには外に出れねえから要塞みたいなもんだな」

「そうなると問題は水蛇の洞穴だが」

「そこは実際に調べに行くしかねぇだろ。待ってろ、丁度そこに知り合いがいるから話通しとくわ」


龍二はその江島大学病院に知り合いがいるらしくアポイントメントを取る為電話しに一旦外に出た。


「となると後は時間てなるけど・・・」

「短針が指す時、これは単純に時刻を表していると考えると問題なのは夜明かり眠り待ち続ける空と言う文面」

「それなら簡単よ」


スマホをいじりながらシャーロットがそう言った。


「夜明かり、それに空となるとこの文章が示すのは2択に絞れる。それは星と月」

「そうか、夜空での明かりと言うとその二つぐらいしか・・・」

「で、調べてみたらこんなのがあったって訳」


シャーロットがスマホを押し付けて来た。それを受け取ってページを見ると、それは月の満ち欠けが書かれていた。


「19日の月、寝待月・・・」

「つまり彼等は明日の19時、江島大学病院の何処かに来るようと言っているのよ。こんな文書を作るぐらいだもの多分、私たちが介入してくるのも彼等の想定の内のはずよ」

「つまり僕たちは彼らの罠に自ら飛び込みに行くと?」

「そうなるわね。そこからは出たとこ勝負よ」

「おい、話付けてきたぞ。今日は流石に無理だが明日の昼なら良いってよ」


一度外に出ていた龍二が戻ってきた。


「明日の昼か……向こうからは19時って指定されてるけど」

「それは行くしかないでしょう。こっちも少しぐらい出し抜かないと彼らの思う壺ですよ」

「雨宮君の言う通り。ここは少し早めに行くことにしましょう。もしかしたらお茶を用意してくれてるかもしれないでしょう?」

「毒入りじゃないことを祈る」


そして翌日の昼過ぎ、俺たちは江島大学病院に来た。


「いい、私たちはこれから最後の謎、水蛇の洞穴を探す。そこで3:2の班に分けることにしたわ。怜君、龍二、そしてワトソンが2階から上、私と隼人君が1階と地下駐車場を捜索するわ」

「お前ら、くれぐれも他の患者に迷惑かけんじゃねえぞ。何か問題起こしたら俺のせいになっちまうからな」

「それならさっきコンビニでタバコを買わないほうがよかったんじゃないんですか?」


ワトソンからの指摘にたじろぐ龍二。やっちまった自覚あんのかよ……。

だが龍二はすぐに開き直った。


「別にここで吸わなきゃいいんだよ。んなことよりとっとと行こうぜ」

「それもそうね。じゃあ何か見つけたらすぐに連絡ね」


俺たちは二組に分かれて病院を探索する。


「まずは聞き込みね。患者や看護師、医者の誰かがそれらしいことを知ってるかもしれなから」


俺とシャーロットはまず近くにいた看護師に聞いてみた。


「すみません。ここら辺で蛇にまつわる何かはありましか?」

「蛇?ん〜〜ごめんなさい。私は知らないわ。多分他の人も知らないんじゃないかしら」

「そうですか。ありがとうございます」


看護師の様子からしてまったく聞いたことのない感じだった。もしかしたらほんとにそんなものがない可能性がある。


「次はあそこよ」


シャーロットが指したのは小さい子供達が遊んでるエリアだった。


「子供なら何処かで色んな話を聞いてるかもしれないわ」


俺たちは子供達にさっきの看護師のお姉さんと同じ質問をした。


「蛇?知らない」

「私も知らない」

「僕も、そんないたらみんな話してるはずだし」

「そうだよね。遊びの最中に悪いな」

「平気」

「それよりあなたのお洋服可愛い!どこで買ったの!?」

「隼人君次に行こう次!」


シャーロットは俺の服の裾を引っ張る。

もしかしてシャーロット、見た目の割に子供が苦手なのか?


「水の蛇?悪いがそんなおふざけに付き合って暇はないんだ」


少し歳のいっている医師に聞いてみたが門前払いだった。


「結局どれも収穫なしと」

「いえ収穫はあったわ」

「なんだよ?」

「ここにいる誰も知らないと言う収穫が」


それはただの押し付けじゃないか?


「つまり、あの文面の水蛇はそのモノじゃなき何かの形容だと分かったわ。それが分かればそれっぽいものを探すわよ」


俺たちは次に地下1階に向かった。

この江島大学病院は地下2階まで備え付けの大きな地下駐車場がある。


「片っ端から怪しそうな場所に車を探すわよ!」

「マジかよ・・・・・・」


俺たちは車一つ一つを調べ、更に柱、床、天井、あらゆる所に違和感がないか調べた。


「俺、探偵ってもっとスムーズに物事を進めていくイメージだったんだけど?」

「そんなのフィクションよフィクション。現実はこういう地道な面倒の積み重ねなのよ。ほら次よ次」


そう言って俺たちは次は地下2階に向かう。

エレベーターに乗って地下二階に降りた時、奥の方から変な金属音が響いた。


「これは…」

「さっそく手掛かりよ。これも今までの行いかしら」

「それはないだろ…」


短い付き合いだがこいつが相当な問題児なのは確定案件だ。それなのに今までの行いって、冗談だろ。


「とにかく行くわよ!」

「へいへい」


俺とシャーロットは急ぎ足で音のした方に向かう。


「確かこの辺からしたと思うんだけど…」

「誰もいないな」


さっき聞こえた大きな金属音。なにかしらイベントが起こったのかと思っていたが地下1階と変わらずただ綺麗に車が並べられているだけだ。

だが逆にこの静けさと綺麗さの自然さが不自然と感じさせた。


「隼人君、ちゃんと私を守ってよね。私のマキナ、戦闘向きじゃないから」


そう言ってシャーロットは俺の後ろにピッタリと付く。なお顔だけ横から出している。傍から見ると妹が兄にくっついているようにしか見えない。

俺たちは周りを警戒しながらゆっくりと前に進む。

人の気配はない。さっきの音は何かが自然に落ちただけの音なのか?だが老朽化してる感じでもないし、車が破損している様子もない。そもそもここは地下駐車場だ。落ちてくるとしても地面を支えてる鉄格子ぐらいしかない。それならもっと大きな音がするはず。


「隼人君あれ」

「ん?」


シャーロットが指さす先には半開きの消火栓があった。


「これは…」

「行くしかないでしょ!」

「ですよね……」


シャーロットは走って半開きの消火栓に向かう。

俺は優雅副隊長たちに怪しい場所を見つけたと連絡した。するとすぐに優雅副隊長からすぐに向かうと連絡が返ってきた。

俺たちは優雅副隊長たちが来る前に消火栓を調査する。

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