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「先生、この辺りで停めてください。」
「夜遅いんだから家の近くまで行くよ。」
「いえ、大丈夫です......」
「そうか。」
先生は道沿いに車を停める。
「今日はありがとうございました。送っていただいて、ラーメンもご馳走になってしまって。」
「気にしなくていいよ。それより北川、大丈夫なのか?」
「え?......はい。大丈夫です。こういうこと初めてじゃないので。」
「え?」
「あ......はい。ありがとうございました。」
「北川、これ......」
そう言って先生が私に差し出したのは先生の名刺だった。
「何か困ったことがあればいつでも連絡しておいで。力になれるかわからないけど。」
「先生、でも......」
「あ、困ったことがなくても連絡くれてもいいぞ。」
「......」
「言っておくけど、生徒のみんなにこういうことしてるわけじゃないから。」
「え?」
「とにかく、助けが欲しい時は連絡しなさい。お守りだと思って財布に入れておけ。」
「はい。先生、ありがとう......」
「ん。北川、あまり無理するなよ。」
「はい。先生もお元気で。」
「おぅ。またな。」
先生は私を降ろすと走り去って行った。
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