第6.00章 黄色信号は赤と思え & 第7.00章 弓が尽きた時

第6.00章

黄色信号は赤と思え



いをりはもこもこソファーで寝ていた

帰ってきた風花がいをりのほっぺたに手を当てた


風花が言った

「お腹すいた。なに食べよう?好きなの言っていいよ」

「イタリアン。ピザ食べたい」

「前から行ってみたかったお店行こう」


風花の運転でお店の駐車場にたどり着いた

黄色信号は赤と思え、と習ったのかといをりは疑った

後方からクラクションを鳴らされても風花は車を進めようとしないから


そこは山の麓(ふもと)のお店。名前は、空の麓

風花はきわめて慎重にエンジンを切った


エンジンを切る時、車は爆発する危険があると習ったのかといをりは疑った


その時、時刻は6時24分





第7.00章

弓が尽きたとき



風花が言った

「あまり言いたくないんだけど」

「おねえ、もし…」

「さっきからすごく寒い」

「血糖チップは2個よね。急いでサイダー飲んで」


いをりはかばんからサイダーを探し当てキャップを外して風花に押し付けた


風花が言った

「いをりも水分取らなきゃ」

「しゃべってないで飲みなさい

意識失ったおねえとふたりにさせられたら

ひとりじゃ弓道部のわたしでも、喪服の男を倒せるか微妙なんだ

それも失神したおねえを守りながら、巫女のわたしひとりでたたかうんだ」


「美しい所作を学びたくて弓道部はいったんでしょ。さっきあいつ殺そうって言ったよ

あと弓道って飛び道具だから接近されたら茶道で殺すの?」


風花は木の根元に座りサイダーを飲んで血糖値の上昇をまった

いをりはゼロカロリーの紅茶を飲んだ



風花の血糖値    59mg/dl

発作を起こす目安    50 mg/dl






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