格物致知
ある
遥か西方の大国から使いがやってきているのだと。奴らが奇妙な知識や道具を持ちこんでいるのだと。
「さあ問おう、迷える子羊よ! 『
最初の講義はそんな問いから始まった。
講義といえど、机を並べていなければ師が前方で
茶を飲みながら古書を読んでいた
「
「ふむ、従来の経典にそえばたしかにその通りだ!」
からからと音がしたと思えば、どこからともなく現れた人形の少女が茶を運んでいた。
白晋はそれを受け取ると、慣れた手つきで
「ある者は我が教えた知識を
ところで、きみは何の本を読んでいたのかね?」
「あ、おい――」
「ほう、『
白晋は油断していた彼の手から書物を取り上げると、ぱらぱらと項をめくった。
それは太古より伝わる詩集の一つ、中でも神話に関する問いを並べた
「なになに……太陽に
陳元龍は白晋の言うことを理解することはできなかったが、彼の口調が濃い
彼は根っからの読書人であり、
「話を戻そう! 我がきみに授けるのは
それは神が
「物が落ちるのは当たり前のことだろう。ただ、私は生まれてこの方、地面が動いていると感じたことはないが」
「
「それが何になる?」
「
この本はきっときみみたいな
「何だと?」
陳元龍は師の手から書物をひったくった。
自身の
白晋は何かを言いかけたが、ついに口にすることはなく背を向けた。
「ちなみに太陽は火の球だし、月はでこぼこしているだけで何もない。当然、鳥獣なんて
部屋から出ていく前に、彼は一度振り向いて捨て
「きみは存外夢見がちなところがあるようだな! 無論、この国の人間すべてに言えることだが!
ああ、安心したまえ! これから手取り足取り教えるつもりだ! 我のもとに来たのならば、せいぜい『自己の誤りを正し、良知を得る』ことに身を尽くすといい!」
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