第16話
『私に興味を抱いていることは理解しましたが、そのような知識は持っていても無意味なものですので、他のことにお時間を費やすべきかと。』
「将来の妻のことを知ることがなぜ無意味な時間になるのだ?それに、必要かどうかは私が決める。」
一歩私の方に歩みを進めたかと思うと、アレス様は左手を伸ばし私の頬に添え、親指で軽く撫でる。
私は一瞬の出来事に驚き固まってしまったが、すぐに意識を取り戻し後ろに下がってアレス様と距離を取る。
『あなたの妻にならないと何度言ったらよろしいでしょうか。私は絶対に妻にはなりません。』
何度この言葉をアレス様に言ったらいいのでしょう?もう飽き飽きです。
「君が私の妻にならない限り、一生続くだろうな。」
『・・・・。この話はやめにしましょう。終わる気がしませんわ。』
「そうか?俺は別に続けてもいいけどな。」
『いや、やめにしましょう。』
「フッ」
本当にアレス様はあの日から印象が変わられた。話をしていると素のアレス様がたまに垣間見えることがある。
ずっと隠していた?
まさかそんなこと。以前の私は嫌われる為だけに生きていたから本性なんて見せたくなかったのかもしれない。
「で?メリア嬢は本を読むのではなかったか?」
『はい、そうですが。』
「それでは俺も共に行こう。」
『本を読むだけですので、お暇になられると思いますが。第1王子でしたら、お忙しいでしょう?私などほっておいてお帰りになられた方が得策かと。』
「いや、やることは全て終わらせてある。今日はどちらにせよ俺は暇なのだ。だから構わない。」
仕事を完璧に終わらせて他の者にも文句を言わせないなんて用意周到すぎる。本当に優秀な方です。
『もういいですわ。ご一緒致しましょう。アレス様こちらへご案内いたします。』
「なんだもう諦めたのか。」
アレス様がからかったように呟いたけれども私はそれを無視して行く予定だった庭へと案内をする。
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