振り向かす‼
第156話
??side
『愛してる』
貴方が綺麗な女の人にそう言う度に、心が痛むの。
演技だとわかってても。
貴方の瞳に映るのはあたしだけでありたいの!!
年の差?
パパと一緒の年?
関係ない!!
会えない日なんて数ヶ月は当たり前で……。
でも会えたら嬉しくて。
名前を呼ばれたら泣きそうで。
友達はね言うの。
諦めろって。
ふざけんな。
何年片想いしてると思ってんの。
そんなに簡単に諦められる恋なら、こんなに苦労してないわ!!
大好きなの!!
諦められないの!!
「お前は両親そっくりだな」
「そう?」
「ああ。たった一人を想い続けるとこなんかは特にな。俺も昔は憧れたもんよ」
「へー!!その話、聞きたい‼」
「それはまた今度な。が、アイツは手強いぞ?」
「知ってる。何十年一緒にいると思ってんの?」
「ハハ!!"家族"だからな」
あたしにはたくさんの"家族"がいる。
皆、ママが大好きで、あたしと弟を実の子のように可愛いがってくれる。
だからあたしも弟も皆が大好き!!
でもね、でも。
その中でもやっぱり貴方は特別なの。
覚悟しててね。
絶対貴方に
『愛してる』って言わせてやるんだから!!
あっ!
演技じゃないやつね!!
本心のやつをね!!
それまで女を磨かないとね。
「ねー、ねー。竜ちゃん」
「ん?」
「"あの人"……」
「八千流ー?」
「ママ?」
「おお!?竜希さん!?どっから入った!?」
「秘密よ」
「秘密だもんねー」
「まっ、今更、竜希さんの行動には驚かないけどね」
「いやいや、めっさ驚いてたがな」
「ママ?あたしに何か用があったんじゃないの?」
「あっそうそう!!さっき"アイツ"電話があって、今こっちに向かってるって」
「……え!?どっ!?うぇ!?」
「驚き方お前そっくりだな」
「親子ですから」
ママと竜ちゃんがケタケタ笑う。
でもあたしはそれどころじゃない!!
って、あたしまだ寝間着じゃん!!
あああああああっ!!
「ハイドー!!ハイド!!」
「……何。うるさい八千流」
「髪!!髪結って!!」
「やだ」
「ハーゲンダッツ三個」
「早よこい」
「ありがとー!!」
あたしは不器用で、弟のハイドは手先が器用なんだよねー。
双子なのに全く正反対のあたし達。
「どう思う?ママ?」
「"アイツ"だからねー。ラスボス級に手強いっしょ」
「反対はしないのか?」
「想う気持ちはわかるから」
「そうだな」
やっヤバい‼
心臓がドキドキしてきた!!
「ただいまー」
来た!!
あたしは玄関に向かって走り出した。
貴方を抱きしめるために、抱きしめられるために。
「お帰り!!」
今日こそ、振り向かせてやるんだから!!
End
ふと、思い付いたお話です。
このbookを栞して下さってる方へ。
少しでも楽しんで頂けたら。
めけこ
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