レオン過去?

―獣人悪魔の幼少期―


ある実験施設の実験体であり唯一の成功個体

――コード[1800号]――

それが本来の彼の名である


幼少の頃より実験体として様々な訓練を行われた

その結果、身体能力では全て平均を優に超えるが

精神面は子供のままになってしまった


彼のチョーカーは幼少期の名残りであり、制御しきれない魔力を抑える枷でもある



施設では実験体というより都合の良いストレスの捌け口として扱われていた


怪我をしても治るからと普通なら耐えきれないであろう事も幾度となく行われた


……心は壊れ、力を持て余した少年は徐々に狂おうとしていた


完全に狂う前に愛しい人を見つけたその人に

「レオ」と名ずけて貰った

それから少しづつだが心が治ろうとしていた


…そんな矢先にソレは起きてしまった


その中で目の前で愛しい人は赤く染まり

挙句の果てに形すら残されなかった


怒り…悲しみ…残った狂気が混ざり合い初の悪周期を迎え、彼が落ち着いた頃には辺りは廃墟や荒地と化していた


…自分で生きる術を知らない少年はある男の家に拾われた


…屋敷へと連れられていけば

彼の為にと用意された部屋は広く、不自由なく暮らせそうな設備が整っていた

…まるでここだけで生活出来そうなほどに


……男は彼が部屋から出る事を許さなかった


1度だけ言いつけを破ってしまった時には薄暗い地下へ連れていかれ"躾"を受けた事もあった


……痛みは感じなかった…溢れる涙や自身からの流れる血を見てもまるで他人事の様に感じていた

……それからは人形の様に操られるがまま、言われるままに生きていた


…後に男がある名家に彼を連れて行った

それが彼の運命の分かれ道であったのだ


…エヴァン家、彼のいた国では有名な名家の1つで

吸血鬼と悪魔の性質を併せ持っている


……そうして、エヴァン家の後継者である少年に彼は気に入られた

…少年は彼を自身の弟にしたいと両親に願いを訴えたのだった


しかし…男は拒もうとした…

…名家に従わない…それが意味する事を忘れて


あれから疲れて眠ったのだろうか…

…彼の目が覚めた頃には男は何処かへと消えていた

…代わりに彼を暖かく迎えてくれる家族が居た


少年に名前を問われ、しばらく忘れていた名前を口に出した


「…レオ…ン」


彼が名前を告げれば彼等は優しく暖かい声で微笑み

彼の名を口にした


――終――

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