ナースの子はツライよ

 小さい頃から体調が悪い時は、母の帰宅を待って、改めて病院に連れて行ってもらっていた。


 待合室でぐったり座っていると、決まって患者さんから声がかかる。

「あれ婦長さん!白衣着てないからわからなかった!どうしたの?」

「娘の診察で…」と母。

「いやー娘さん?こんばんは。いつもお世話になってますー」

 私はぺこぺこと挨拶をする。


 続いて外来の看護師さん。

「あれ婦長さん、どうしたんですか?」

「娘の診察で…」

「あら娘さん。大丈夫ですか?」

「はい、ありがとうございます…」と頭を下げる私。


 いよいよ診察。

「おぉ、どうしたん?」

「先生すみません、実は娘が…」

「あぁ娘さん!」

 私はまたぺこぺこと頭を下げつつ「お願いします…」と挨拶をする。


 毎回の病院ルーティーン。

 ナースの子は、具合が悪くても気が抜けない。

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