第34話 朝日

「章、神体が変な声を上げ始めた!これが限界なのかもしれない・・・」


 装甲板がはがれ始める。いや、行ける!叫び声は悲鳴じゃない!


「勝ちました!」シャリンが叫ぶ。


 マブラウの剣が折れた!耐えきれなかったのだ。体勢を崩した奴の機体は衝撃波に呑まれ隙まみれになる。チャンスだ!。


「「喰らえ!」」


 ランスの突きが命中する。しかし直撃じゃない!奴は回避してフライトユニットに当てたのだ。だがそれで十分だ。


「離脱する!」


 俺たちはそのままの勢いで一気に距離を取る。物凄い速さでエレベーターから遠ざかっていく。


 行先はもちろん東だ。


「さらばだ、カイバル。次に会うときはどちらかの最期の時だろう・・・」マオがつぶやく。


 遠のく意識の中俺はそれを聞き取った・・・。







 血が止まらない。腹に食らってしまった。しかし親衛隊のブラルは殺した。あとはあの2人がどうなったのか・・・。それを確かめなくては・・・。バルマンは足を引きずり、腹を手で押さえながら、しかし確かな足取りで歩く。


 暗い通路に光が差し込んでくる。朝日だ。


 出口には殺された兵士が倒れている。ざまあないと大佐は思う。カイバルなんぞの味方になったのがこいつらの運の尽きだったのだ。


 その時だ。2つの何かが朝日に向かって飛んでいった。まるで流れ星の様に。


「作戦は成功・・・。後は頼みます・・・」


 バルマンは倒れる。すぐに自身の血が頬に当たる。軍服が血まみれになる。意識が遠のいていく。


「ようやく、そっちに・・・。いや、俺は行けないか・・・」


 バルマンは死んだ。満足した顔で。

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