第31話 泥臭く 1

 何かが光る。青白い光が一直線に伸びたかと思うと一気にこちらへ近づいてきた。


「ほんとに来た・・・」

 空で会った時と同じだ。奴は、神体は膝立ちでこちらに手を差し出してきた。


「私は章さんの方でお願いします」シャリンが言う、目を輝かせながら。


 なんか神体がむっとしてる気がする。


「頼むよ、俺たちの仲間なんだ」


「すいません、裏切り者ですがまた裏切ったんです」シャリンが釈明?する。


「章急げ!、マブラウが来る」


「頼むよ!」


 そう言うと神体は手を乱暴に体に突っ込んだ。俺たちはコックピットのシートに乱暴に入れられる。イタタ・・・。


「接近中の敵は5機、全部機械巨人だ。多分親衛隊の奴だろ」マオが言う。


 俺たちは離陸し、上空に向かう。だか奴らは動かない。おそらく様子見はしてるんだろう。


「奴ら及び腰だ。先制するぞ、あんまり長居は出来ないしな」


「肩のキャノンを使ってください。試作品ですけど使えるはずです!」


 モニターに機体の状況が映るようになっている。アサルトライフルにシールド、それからバックパックに折り畳み式のキャノン砲が増設されていた。


「よし、やるぞ」


 キャノンが展開し右肩のマウント部と接続する。モニターに照準が出てくる。


「奴ら、散開したぞ!あの時と同じだ」


「ロックオンした、撃つ!」


 発射、機体に衝撃が伝わり、砲弾が飛んでいく。


 直撃した、機械巨人が裂け、爆発する。一撃だ。


「すごい威力だ・・・」


「後四機だ。前も後ろも二機。完全に囲まれる前にやるぞ!」とマオ。


「よし、マオ、キャノンで援護する。前の奴らだけと勝負できるようにする、負けるなよ」


「任せろ!」


 マオは敵との距離を詰める。俺は機体を後ろに向ける。


「大口たたいたんだ。何とかしなくちゃな・・・」


 回り込んだ敵をキャノンの連射で俺は牽制する。


 だが一発も当たらない。


「章さん、キャノンの銃身の過熱がおかしいです。いったん射撃を止めて・・・」


 シャリンが言い切る前に砲身が爆発した。クソ!やっぱり試作品じゃだめだ。


 敵はそれを見抜いたのか、回避行動をやめ一気に近づいてきた。


「撃てなくったって使いようは有るんだ!」


 操縦桿に力を込め、展開したキャノンを神体の両腕で引きちぎる。


 そしてそのまま投げつける!シャリンは悲鳴をあげた。


 もちろん奴らには当たらない。だが良いポイントに飛んでいった。


「マオ、目を閉じるんだ」


 キャノンのマガジン部分をハンドキャノンで打ち抜く。誘爆し大きな爆発とまばゆい閃光が起きる。一機が爆発に巻き込まれる。もう一機も閃光でバランスを崩した。


「喰らえ!」


 ライフルとハンドキャノンを連射する。狙いは甘いが奴のフライトユニットには当たった。浮力を失った機械巨人はふらふらと落ちていった。もう脅威にはならないだろう。


 2人殺した・・・。だがもう覚悟を決めたのだ。戦うんだと。


 振り返る。マオの剣が敵の盾を貫き、コックピットを串刺しにしていた。奴が剣を引き抜くとそれは小さな爆発を起こして落ちていった。


「お前の閃光でひるんだ隙をついた。助かったぞ」とマオ。


 よし、残すはあと一機だ。だがこいつが一番問題なのだ・・・。


つづく

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