神話の花嫁 ~Mith Bride~
まめだいふく
─ 神話の花嫁 ─
︎︎アメリカ──第○○へプラタン空軍基地。
「誘導路Aまで侵入し、そこで待機せよ。」
︎︎管制官はたった今到着したばかりの、戦闘機にそう指示を出した。
︎︎滑走路Aには、すでに別の戦闘機が待機しており、彼らはエンジンを付けたままOKの合図を待っていた。
︎︎ 突然、管制官の合図を待たずに、そこにいた戦闘機が一機、また一機と勝手に動き出した。
「どうした?合図は送ってないぞ!」
︎︎ 返答はなかった。
「止まれ!勝手行動は許可してない。止まるんだ!」
︎︎ 管制官はモニターを見て青ざめた。
︎︎ 管制官の声は、戦闘機の操縦席に届いていた。しかしパイロットはその指示に従う余裕がなかった。
︎︎ パイロットたちの目の前には、無数のMousによって周辺一帯が埋め尽くされていた。
︎︎その一体一体が戦闘機ほどの大きさをしており、背中に一対の羽を生やし、羽虫が如くの
︎︎ ある戦闘機はスパローを放ち、またある戦闘機はホーミングレーザーを放っていた。
︎︎それらがMousへと命中し、もうもうと噴煙を上げるが、その身体には、傷一つ付いていなかった。
︎︎Mousは戦闘機に向かって、レーザーのようなものを無数に放ち、検討虚しく、その場にいた戦闘機は全て一瞬にて、破壊された。
「くそ!化物が!!ここで我々も終わりなのか。」
︎︎ 管制官が諦めかけたその時、「待ってください。」ともう一人の管制官がモニターを見ながら声を上げた。
「これは・・・・・・人か?」
「・・・・・・女の子です」
︎︎ モニター越しに映るのは人だった。そして女性。
︎︎正確に言えば、どこかの学園の制服を着用した少女が宙に浮いている。だった。
「───」
︎︎ 彼女は、なにかを叫ぶと、制服の姿からドレスのような華やかな服装へと姿を変え、手には刀が握られていた。
︎︎ そして、Mousへと一直線に向かい、武器を振るった。
「────っ!!」
︎︎ すぅっと息を吸ったかと思えば、
︎︎管制官たちはモニターを見て、唖然とした。
︎︎ 彼女はなんなのだ?とそして、味方なのか?と。
︎︎ それもつかぬ間、彼女が刀を振り抜いた瞬間──
︎︎ 空一面を覆うかのように刀が無数に現れた。
︎︎ それは満開の八重桜が花びらを散らすかのように、不規則に、そして、美しく。Mous目掛けて落ちていき、一瞬にして消し去ったのだった。
︎︎ そして、彼女は衣装を、制服へと戻すとそのまま飛び去って行った。
「・・・・・・今のは夢かなにか、か?」
「・・・そうですね・・・私たちは、神話の一篇にでも立ち会ったのでしょうか・・・」
︎︎それはどこか。
︎︎ ─ 華麗で
︎︎ ─ 妖艶で
︎︎ ─ 幻想的で
︎︎ 目眩がするくらい、美しい光景だった。
︎︎そして、後に少女たちはこう呼ばれる。
︎︎―――――《
◆◇◆◇
︎︎ 未来の地球──人類は【
︎︎─Mutation
︎︎─of
︎︎─unknown
︎︎─significance
︎︎略して【
︎︎ Mousは軍事兵器が一切の意味を持たず、全てを弾く装甲を身にまとっていた。その多くが昆虫などに姿をよく似せており、共通するのは全てのMousに一対の羽がある事だ。
︎︎Mousは大きさにより等級が別れており、壊滅級、殲滅級、破滅級、滅亡級の四等級になっており、その名の通りの被害が想定されている。
︎︎そして、為す術なく蹂躙され続け、五年ほどが経った。そんなある日、Mousに対して対抗手段を持たない人類に突如『
︎︎その少女たちが持つ武器こそ人類唯一Mousを撃退する事が可能であり、唯一の希望でもあり切り札でもあった。
︎︎少しずつではあるが、各国は領地を奪還し一つの国をつくった。
︎︎それこそが水上都市
︎︎正六角形に作られており、その姿からヘキサグラムと名付けられた。地上からの侵入を一切許さず、各角一箇所ずつに、Mous 殲滅特殊学園(神話の箱庭)が創設され、全方向からの防衛網が取れる形となっている。
︎︎神話の箱庭は合計で六つあり
︎︎─
︎︎─ ハーフィス学園
︎︎─
︎︎─ エインズ第四学院
︎︎─
︎︎─ フラニティ・アカデミー
︎︎そして、その角の一つでもある神話の箱庭へと一人の男が入学した。
︎︎ 少女しか顕現できないとされていた霊装を人類で初めて顕現させたと言われる男だ。
︎︎ 彼の名前は
︎︎目立つ才もない。かと言って突出した風貌をしているわけでもない。
︎︎普通と言わざるを得ないだろう。
︎︎そんな普通の男・・・神風 隼人の物語がこれから始まる。
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