探索者はダンジョンに沈む

おいしい煮魚

第1話

今から約10年前。

突如としてこの世界に異質な存在が紛れ込んできた。

ダンジョン

ある場所は街中に突然現れ

ある場所は海の中から生えたかの様に

また、特異な存在そのものがダンジョンとしてこの世を飛び回っていたり

それはあまりにも急に人々の前に現れ、そして夢を見せた

ダンジョン内部に存在する見た事がない生物…モンスター達

ダンジョン出現と共に発現するようになった”魔法”という存在

そんな夢の様な存在に人々は目を輝かせ、吸い込まれる様にダンジョンへと向かう。

自身の命を懸けて一攫千金のチャンスを、そして更なる研鑽の旅へと


しかし、それももう10年も前の話。

探索者を支援するアプリケーション”ダンジョニスト”が配信されてからは自身の身の丈に合わない環境への挑戦も減ったおかげで死者も減少し、

現在ではダンジョンも魔法も人々の生活の一部として完全に交わり、

”探索者”はサラリーマンぐらいのありふれた職業になった。


「はいどもども~、レビュアー探索者のカナタです!今回レビューするのは普段からいつもお世話になっておりますMAZILA社が出した”ハイゼルボウ”、それとクリアリンク社が出しているいくつかのダンジョングッズも試してみたいなと思っています!」


かくいう私、狛神こまがみカナタも探索者として活動をする中

武器の扱い方や各ダンジョンでの注意点などの情報の発信、

探索者をターゲットとした商品を実際に使ってみてレビューするなどの配信を行いながら日々を過ごしている。


:カナタさんおはよ~

:ハイゼルボウちょうど買うか悩んでたから助かる。カナタニキの感想次第で決めよかな

:今日は何処に来てんの?


「皆おはよう~。今日はせっかくMAZILAさんトコの新商品を使うんだしって事で、孵らずの森に来たよ。推奨レベルは46から64!ついでにここのモンスターの対処法なんかも話すから見てってね~!」


そう言って、新品の弓に鞄、水筒などをカメラに映してから改めてダンジョン内部へと進んでいく。

探索者が多く活動するお昼とは違い、現在はまだ6:30で周りに人は居ない。

まぁ、普通の視聴者層もお昼や夜に活発になるので今の配信には早起きな探索者ぐらいしか居ないのだが…………


:初見です。探索者志望なのですがそれならカナタさんを見た方がいいと友達に言われてきました。


「おっ、初見さんいらっしゃい~!探索者志望の方!それなら今回のダンジョン探索で基本の事もお話しながらやりますので、是非見てってください!」

「まずは”ダンジョニスト”の登録は済みましたか?アレ、結構手続きとか大変なんで装備とか揃える前に事前に登録しといたほうがいいですよ~。」


国公認探索者専用アプリ、ダンジョニスト

探索免許の代わりになったり、ダンジョンについての公開情報がまとめられていたり、配信機能が備わっていたり、便利で重要なアプリだ。

特にレベルという概念を作ったことにより、一つの強さの指標、また挑戦するダンジョンとの差をハッキリと認識しやすくなったのが大きい。

初心者は特に、無知故に高レベルのダンジョンと知らずに潜ってしまった結果…といった事例が多かったので、ダンジョニストによる情報公開で助かった命はいくらでも存在するだろう。

ただ、昔程ではないが登録がまぁまぁ面倒。身分証明だったりなんだったり、その確認なんかで1週間程度掛かる。

更に登録が済んでいないとダンジョンへの入場が認められないので、「準備も出来たしざダンジョンに向かう為に登録を!」で躓いて足踏みする初心者の話は前はよく聞いていた。


「最近は皆口酸っぱく登録しろ!って言ってるだろうから問題ないだろうけどね」


:最近は武器を買うときに登録確認されるらしいから大丈夫だぞ

:それこそ昔は武器が登録してなくても買えてた所為で、アカウント以外全部揃ったのにアカウントだけない!で萎えてる人多かったんよ~。

:それで買ったばかりの最新の剣を半年寝かせてたのが俺。しかもやる気が戻ってきたときにはもう型落ちだったぞ

:草


「あー、昔は市場の移り変わり早かったからね~。それこそ、新しいダンジョンでまた優秀な素材が大量に出回ったりとかがよくあったし」


これは全てにおいてそうなのだが、物もモンスターも人も、とにかく魔力を多く含んでいる方が強い。

強いモンスターが出てくるダンジョンは空間に溜まる魔力も多く、そんな空間で育つ植物や鉱物は他よりも多くの魔力を吸収しているので、武器に加工したときにはより強くなる。

そして、攻略されたダンジョンが今よりも少なかった昔ではとにかく実力を上げて、より上のダンジョンへと向かい上層にある植物や鉱物を取って売るのが楽だったのだ。

上層であれば多少実力不足でもモンスターとの戦闘を徹底して避ければ死ぬ事は少なく、また上層で手に入る程度の植物や鉱物だったとしても、含んでいる魔力が多ければ多い程良いとされていた昔であればかなり良い収入だったはずだ。

そうしてある程度一般に流通するようになれば企業がそれを良質な武器に加工し、それによって全体が底上げされて更に上の素材が一般に……といったループが発生し、早いときには1週間で流行りの素材が変化していた。


「ただまぁ、今はそう簡単に変わんなくなったからね。初めての人はMAZILAかフリステの所を買えばいいんじゃないかな~って思うよ。……っと、そうこうしている内に最初の会敵ですね」


そんなこんな視聴者と思い出話に花を咲かせていたら、ハッキリと羽音が聞こえ始める

弓を構えて待ち構えれば、「ヴヴヴヴ」と音を鳴らしながら振動する羽、頭は何とも似つかないおぞましい虫の様な見た目、そして無数の手足を携えた黄色い胴体の臀部らしき場所には巨大な針を持ったモンスター、それが4体ダンジョンの奥から現れる


「さて、今回の第一村人はモンスタービーちゃん。4体は……まぁ普通の数なので、話しながら対処していきましょうか。」


まずは先手必勝

既に番えていた矢を放ち、1体目の頭に命中させる。

断末魔を上げる間もなく墜落した仲間に、即座に残りの3体は頭を開き、大きく開かれた口から雄叫びを上げて戦闘態勢に入る。


「まず、大前提なんですけど、孵らずの森ではパーティー行動が推奨されています。」

「その理由がこの子。数を生かした戦い方が上手な上、飛行能力を持っているのでちょこまか動き回るし、一人だけで処理するのが凄い大変。」


そう言っている間にも、モンスタービー達は正面から散って行き3方向からこちらに向かって突撃を始める。

孵らずの森では大体出くわす事になるだろうモンスタービーの厄介な所はこの連携だ。

常に3~6体で群れながら、敵を見つけた際には頭数を生かした戦い方を仕掛けてくる。

前衛が引き受けたとして、どれの攻撃を防御しても必ず1体は背面を取れるようになっているのだ


「ついでに牙と針は生半可な装備は簡単に貫いてくる上に、耐性がなければ立つのも厳しくなる程の猛毒が仕込まれてます。」

「なので必ずヘイトを買う人はカウンターや防御じゃなくて回避行動でいなす事に集中してください。連携してくるとは言っても、相手はモンスター。1体を崩せば必ず抜け出す穴ができますので。」


そうして真正面のモンスタービーに向けて、狙いを澄まして2射目。

流石に警戒している相手の頭を射貫く事は出来ないが、それでも胴に一発、深く突き刺さる。

「ギィッ」という悲鳴と共にふらついた隙を逃さず、正面をそのままスライディングで突破

体勢を整えてすかさず3射目を放ち、動きの鈍くなった2体目の胴をもう一度貫き仕留める。


「とまぁ、本来ならパーティーメンバーが居るはずでしょうから、前衛がヘイトを買って回避に専念、後衛が前衛が耐えられる様に上手くモンスタービーの連携を崩しながら数を減らしていく戦法が中層までなら安定して勝てるかなって思います。」


残りは2体。ここまで来ればあまり話す事はなくなる。連携をするにも3体を突破出来るのなら更に穴の増える2体で負けるなんて事はなし。勿論、向こうも数に合わせて動き方を変えては来るものの、冷静に対処すればなんてことはない。

残りの3体目、4体目を撃ち落とし、周囲を確認して追加のモンスターが居ない事を確認。

戦闘終了だ。


「よしっ!これで戦闘は終了。あ、倒したらすぐに魔石を回収せず、ちゃんと周囲の安全を確認してからやってね。」


:お疲れ様~。

:相変わらずカナタさんの攻略は綺麗やね

:参考になります!


「それじゃ、魔石を回収しまーす!」


懐から解体用のナイフを取り出し、モンスタービーの体に無理やり刺す。

力を込めれば胴体に線が入り、あとは線を指で上手く割って心臓部にあるビー玉程の大きさのほんのり虹色に輝く宝石、≪魔石≫を抜き取る。


「これが魔石。モンスターを動かす動力源で、魔力の塊ですね。これをちゃんと回収しておかないと、種類によっては復活しちゃうので緊急時以外はちゃんと放置せず回収してくださいね~。死体はしばらくすればダンジョンが勝手に吸収してくれるので放っておいていいよ。」


:綺麗~!

:綺麗…綺麗か……確かに………

:え、違うんですか?


「あぁ~…いや、魔石の用途は知ってるかな?エネルギー資源として活用されたり、元のモンスター次第では魔石そのものが武器の素材になったりとか、色々あるんだけど…」

「一番はいわゆる経験値なんだよね。これを体内に取り込む事で、モンスターの持ってる力の一部を貰い受ける事が出来る。ほとんどは魔力が増えたり、体が強くなったりとかだけど、たま~にモンスターの特性とかを手に入れたりもするよ。」


そう言って、口を開いて魔石を放り込む。

≪魔石≫の名前の通り、結構な硬さなので奥歯でガリガリと砕いていく。味はしない。

強いて言うならほんのりモンスタービーの味がするような気がする。食べたことはないが。

正直ほとんど無味無臭の飴玉を食べている様な感覚だ。

ある程度砕けたら、そのまま飲み込む。

別に、これに何かをいえる事はない……今のレベルじゃあの程度の魔石ですぐに目に見えて強くなれる!という訳でもないから。


「それで、探索者はずーっと見てる物だし、いつも食べるか売るかでだけ考えてるのもあって、そういう感想を抱きにくいのかも……」


:大変なんですね…

:正直目標金額分以外は脳死で食ってたから自分の目でまともに見た記憶が最近ない

:レアなモンスターを倒した時ほどクソ程悩む。


「個人的には必要分以外はちゃちゃっと食べちゃうのがオススメですかね~。早い所実力を上げた方が後々の効率も良くなりますし。あと余計なの持ってても邪魔だしね」


慣れた手つきで残りのモンスタービーからも魔石を回収して、全てぱくりとたいらげる。

上層にいるモンスターの魔石なんて値段もたかが知れているので、よほどレアなモンスターの物でもない限りは食べた方がいい。

ただ、レアなモンスターの魔石は取り込んだ時の恩恵も大きいときがある。やはりケースバイケース、といった所だろうか。



「あ、ちなみにモンスタービー君の補足情報なんだけど、この子の体は結構硬くて熱に強いので貫通のエンチャントや雷属性の魔法で攻撃するのがオススメです。」


モンスタービーの死体を手に取り、その表面を軽くナイフで叩けば、

「カツン、カツン」と金属同士がぶつかるような音が鳴る

まだ情報が簡単に出回らなかった頃では、とりあえず燃やして安心してたら手痛い反撃を貰ってしまった探索者をよく見た。

最近では色々とある程度上層のモンスターについては情報がすぐに出回る様になってるので、あまり変な事は起きないだろうが……

一応、自分の所でも伝えておく。


:さっき戦ってるときエンチャントしてました?


「私はごり押しで倒せただけだよ、マネしないでね」


:ひぇ~っ……



モンスタービーを討伐し、更に奥へと進む事数分

適当な雑談で配信を繋ぎながら歩いていれば、何かが近付いてきている気配がする。


「おっ、何か居ますね」


新たなモンスターの気配に応じて矢を取り出し、すぐに攻撃出来る様に準備しておく。

ある程度警戒しながら進めば、気配の主…真っ赤に光るスライムのモンスターを発見する。


:あ

:レアちゃんだ!

:ファイアスライム?


「森燃やしだ!」


近くにあった気配の正体が森燃やし……ファイアスライムであるとわかった私は、笑顔で駆け寄る。

向こうは私の接近に気付いて即座に戦闘態勢に入り、口からぽっ!と火球を放ってくる…が、ちょっとした火の粉程度の威力のソレでは、このダンジョンにやってきた探索者には通用しない。

ファイアスライムの抵抗むなしく、私はそのまま鷲掴みにして持ち上げる。


「ラッキーだね!この子はファイアスライム……このダンジョンのレアモンスターだよ!」


レアモンスター。

それはダンジョンでの遭遇自体が稀であり、あまり魔石の流通もしていないモンスター達。

それだけ聞くと、なにか特別なモンスターなのではないかと思われがちだが、実際はそんなことはない。

なぜならレアモンスターがレアたる理由は、基本的に「弱いから」なのだ。

モンスター達がどうやってダンジョンに生まれているのかは未だ不明だが、モンスター達はダンジョンである一定の数が決められて生まれている。

そしてその数には一部例外を除いて優劣はない、とされているのが現在でのダンジョン専門家たちの考察である。

しかし、それなのに遭遇するモンスターに偏りがある原因は、モンスター同士の生存競争にあると考えられている。

モンスターは別に、探索者や人間だけを攻撃するわけではない。自分以外の存在であれば普通に襲い掛かるし、同種で殺し合いをすることだってよくある事なのだ。

そうして孵らずの森に生息しているファイアスライムは自身の完全な天敵になってしまったモンスタービーに出会ってしまうのだ。

戦えば確実に敗北し、自身の心臓である魔石を守る為の高温の体はまるで役に立たない。

故にモンスタービーからも探索者からも狩りつくされてしまったファイアスライムは、中々出会う事がない。

もし出会う事があるとしたら、このダンジョンで生きていける高レベルの個体か、たまたま生まれたばかりの個体の2つしかない。

今掴まれて居るコイツは、大きさからも火力から見てもどう見ても後者の存在だろう。


「いや~、もう最近じゃめっきり見なくなったなぁ。」


:昔はよく見たんですか?


「ん!そうそう、昔じゃコイツは”森燃やし”って呼ばれててね。ここで一番見るモンスターだったんだよ。」


元々はこのファイアスライムはこの孵らずの森で一番遭遇率の高いモンスターであり、逆にモンスタービーはレアモンスター枠だった。

昔ではモンスタービーやこの森に存在する木々は総じて炎に弱く、ファイアスライムが猛威を振るっていたのだ。それゆえにつけられたあだ名は”森燃やし”

その頃ではファイアスライムは1m程の大きさが普通で、吐き出される火球もシャレにならない威力をしていた。

火炎耐性がなければ掠るだけでも大火傷、そして対する相手は物理攻撃に耐性があるという、とんでもない存在だった。

水属性の魔法の使い手が居てやっと1体なら安定して処理出来る、2体以上を相手にするなら火炎耐性持ちの前衛が必須。


「そのくせ火炎耐性を得る一番の近道はファイアスライムの魔石って言う、『ファイアスライムを安定して狩る為にファイアスライムの魔石が必要になる』なんて状況になってたんだよね。」


:ひぇ~………

:そんな時期あったんだ……

:でもそんな需要があったからファイアスライムの魔石はめっちゃ高かった、当時は水属性を極める魔法使い多かったし、前衛職は高い金払ってでも火炎耐性を取りに行ってた


「そうそう、私も当時は収入源としてお世話になったな~。」


それこそファイアスライムの魔石の価値は、何も火炎耐性だけではない。

火属性の魔力を大きく蓄えている魔石は、素材の加工や火属性の付与、爆弾としても活用出来るし、当時は高すぎてやってる人は見なかったが暖房器具としても扱える。

その需要に合わせて「入手が難しい」となれば、取引価格が上がるのは当然だった。


「ただ、モンスタービーが今の状態になってからは静かに減って行ってたね。」


しかし、それだけで終わらないのがダンジョンのモンスターである。

森燃やしが猛威を奮っていたなか、

突如として現れたのがどこからか火炎耐性を獲得したモンスタービーだった。

これによって森燃やしは少しずつ減少していき、このダンジョンが完全な緑を取り戻していた時には、もう森燃やしではなく「レアモンスター、ファイアスライム」になってしまっていた。

別に森燃やしだった頃が良かった、という事は絶対にないが、ここまで落ちぶれてしまったのを見ると何か感じるものがある。


「ちなみに、今のファイアスライムはこうやって多少の火炎耐性があればそのまま魔石を引っこ抜いて終わり。」


鷲掴みにしたままだったファイアスライムに手を突っ込み、そのまま魔石を引っこ抜けば力なくドロドロと崩れていく。

魔石は……この大きさでも、レアモンスターの物なら何かしら使えるかもしれないと思い、今回はキープ。


「今みたいな片手で持てるぐらいの小さい奴だったら頑張れば誰でも処理出来るだろうけど、アレが両手じゃないと持てないぐらいの大きさになったら慣れてない人や火炎耐性持ってない人は喧嘩を売らずに逃げる様にしてね。冗談抜きで死人が出るから。」


:了解です

:レアモンスターだからって欲張って死ぬのはあるあるやからマジ気を付けてね、マジで

:森燃やしの話聞いてなかったら大きくてもレアモンスターだからって安易に倒そうとしてたかも。こわい


それからは特にこれといって問題もなく、リスナーとの雑談を楽しみながら進んでいけば、次第に中層へと続く道が見えてくる。


「アレ、もう到着か……ここまで接敵がないって事は、誰かもう入っちゃってたのかな。」


だが、あまりにも早い。

本来ならもう少しモンスターが居るはずなのだが、ここまで出会わないとなると誰かが多めに狩ったのだろう。

時刻はまだ8時になろうとしているぐらい。早い方だと思っていたが、それ以上に熱心な方が居た様だ。


:見た感じ孵らずの森を配信してる人は居ないから、ギルドとかかもね。


「あ~………ギルドが居るかもなのかぁ。こりゃしくじったかもしれない。モンスターが少なかったら通ってるんだろうしその時は戻って逆方向に進んだ方がいいかもね。」


うげ、と少し顔をしかめながらも進んでいく。

別にギルドが何か悪いという訳ではないのだが、ギルド規模の人数であれば基本道中とその付近のモンスターは狩りつくされてしまう。

道が被ってしまえばモンスターは狩られて居ないし、もしも出会ってしまえば色々ややこしい事になりかねない。

まぁ、避ければいいだけの話なので大人しく別の道を探すのがいいだろう。

幸いな事に、中層以降からはより広く、より入り組む様になっていく。

狙って向かわない限り、ギルドと出会う事はないだろう。

そんな事を考えながら進もうとするが

突然、ポケットから振動が伝わってくる。

どうやら、何か連絡が来た様だ。


「…ん?あ、ごめん。なんかスマホ鳴ってる。」


スマホに写し出された通知は”ダンジョニスト”の運営からのメッセージ。

対象者は、孵らずの森で探索中の探索者及び近辺で活動中の探索者。


《現在、孵らずの森中層にて”黒炎の剣”より救援要請が来ています!》


「………はいぃ!?」


どうやら今日は、あまり上手く事が運ばない日らしい。

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