陰キャぼっちの友達作りスローライフ
六花
プロローグ
「
コレ、あたしの事だ。態々あたしの死亡した日と死因を読み上げたのは自分の事を神様だとか言う綺麗な女の人。
外見はウチのママより若くて美人でスタイルも抜群で優しそう。
「哀れな死に方をした貴方が女神の私にこうやって呼ばれたという事はどういう事かわかりますか?」
「……」
「聞いていますか?」
「……」
「話しかけているのですから、返事をしないまでも首を振るなりこちらを向くなりしたらどうです? ここへ来てからずっと斜めに構えて俯いているのは失礼でしょ?」
「……」
「ちょっと聞いてます?」
「……」
聞こえている。だけど、知らない人と喋るの苦手だし、女神様の存在が眩しくて直視出来ない。
あたしが死んだのは本当だ。自分の事だからよく分かる。だから女神様が死亡した日や死因を言ってきても何も驚きはない。
気が付いたら辺り一面真っ白な空間に女神様とあたしの二人っきりという状況からマンガとかアニメで観た事がある転生の前段階だと思う。
凄く質問してくるけど、上手く喋れる自信がない。
黙っていたら何とかなんないかな?
「話が進まないのでもうこのまま話しますね」
あたしが黙っていてもお話は続けてくれるみたいで助かった。
「貴方にはこれから異世界転生をして仲間を募り勇者パーティーを作って、魔王を討伐して貰います」
お話は続けてくれたけど全然助からない。あたしに魔王討伐とかムリムリ。
運動音痴だから戦闘とか向いてない。そもそも勇者パーティーを作る以前に友達すら作れないのだから。
そんな事が出来るなら生前の生活は華やかだったと思う。
「ただ、そのまま転生しても貴方は魔王と対峙する前に死ぬかも知れません。人見知りで病院にすら行けないくらいですから、餓死や病死も有り得る。普段なら転生させる前に持って行く能力と天職を選ばせてあげるのですが……」
能力と天職を選ばせてくれるの? やったー!
能力と天職ってよく見るのは最強とかチートだよね。それがあればあたしにも……。
「貴方に聞いても答えなさそうなので私の方で勝手に選ばせて貰いますね」
「え……」
「あら? やっとこちらを向いて声を出してくれましたね」
「いや……えっと……その……」
つい反応をしてしまった。厚かましいと思われたかな?
「あらあら、顔を逸らしてモジモジしなくてもいいのですよ。望みがあるなら口にして下さい。もっとも、望みが全て通るわけではありませんが」
チラッと顔色を窺ってみると女神様はニコニコしていた。女神様っていうくらいだから、もしかしたらめちゃめちゃ優しいのかもしれない。
それなら欲しいものを言っても怒られないよね。
「あの……その……の、能力はコミュ強で、天職はリア充でお願いします!」
一世一代のお願い。チートコミュと最強リア充であたしにも仲間とかお友達が出来る。
「そんなものありません」
「へ? ……ない?」
「そもそもそんなものがあったとして、貴方はそれを手にしてどうするつもりなのですか?」
「えっと……コミュ強でいっぱいお友達作って、リア充になってみんなと楽しく暮らす」
「は?」
何か声色が変わったからまたチラッと顔色を窺ってみたらニコニコだった女神様から笑顔は消えてあたしを凄く冷たい目で睨んでいた。
もう怖くてチラ見も出来ない。
「自力で頑張りなさい! 貴方に聞いた私が馬鹿でした。もう全てこちらで決めさせてもらいます」
女神様に怯えて震えながら俯いていると、
「決まりました。能力や天職、状態などの説明は次に貴方が目覚めた時に頭の中へ流れます。忘れる事のないように理解出来る設定にしておきますので安心して転生しなさい。それでは良い異世界転生生活を」
強制的に神的パワーで眠らされた。
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