玲奈と僕は、いつも通り穏やかな日常を送っていた。朝から晴れていた空に、ふわりとした雲が浮かんでいて、気持ちの良い一日になると思っていた。その日は何も特別なことはないと思っていたが、全てが一瞬で変わるとは思ってもいなかった。

午後、僕たちはリビングでくつろいでいた。玲奈はソファに座って本を読んでおり、僕はコーヒーを片手にテレビを見ていた。その時、突然、家全体が大きく揺れ始めた。初めて感じるような、大きな揺れだった。

「わっ！」玲奈が叫び、驚きながら立ち上がる。テレビが音を立てて倒れ、壁に飾ってあった絵がガラス音を立てて落ちた。

「玲奈、落ち着いて！」僕は玲奈を無意識に抱き寄せ、頭を保護するように腕を回した。

「な、何が起きてるの？」玲奈は恐怖に目を見開き、体が震えている。

「地震だ、でも大きすぎる…！」僕も動揺しながら言った。家の中が大きく揺れる音と共に、家具ががたがたと動き出す。

恐怖と混乱の中で

地震の揺れが止まった時、家の中は無惨な状態になっていた。床には落ちた物が散らばり、テレビの画面は割れていた。玲奈は僕にしっかりと掴まり、顔を上げたときには涙が浮かんでいた。

「怖かった…」玲奈は震える声で言った。

「大丈夫だよ、もう揺れは止まったから。だけど、気をつけようね。」

僕は玲奈を落ち着かせようとしたが、心の中では不安が大きく広がっていた。外からは、近くの道路に避難した人々の声が聞こえる。ニュース速報が流れ、地震の規模が予想以上に大きいことが分かった。

「これ、きっと大きな地震だよ。」テレビの音声に耳を傾けながら、僕は冷静さを保とうと必死だった。

玲奈はしばらくその場で震えていたが、やがて静かに立ち上がり、僕に言った。

「私、ちょっと怖くて…外に出られない…」

「分かるよ。でも、もう少しだけ家の中で待ってよう。外は危険かもしれないから。」僕は玲奈の手をしっかり握りながら、無理に外に出さないようにした。

混乱と余震

外で救急車や消防車のサイレンが響き渡り、僕たちの家の周りでもパニックが広がっている様子が感じ取れた。テレビ画面には、各地で倒壊した建物や道路が映し出され、震源地から遠く離れた場所でも揺れが感じられていることが報じられていた。

その時、再び震度の大きな余震が来た。再び家が揺れ、壁に掛けていた時計が床に落ちて壊れた。

「また来る！？」玲奈は顔を隠すようにして、僕の腕にしがみついた。

「大丈夫、玲奈、もうすぐ収まるから。」僕は震える玲奈を必死で守ろうとし、体を小さくして隠れる場所を見つけた。

余震が収まり、ようやく静けさが戻った。玲奈は体を震わせながらも、僕にしっかりと寄り添っていた。

「怖かった…」玲奈は小さな声で言った。

「でも、君はよく頑張ったよ。」僕は優しく彼女の髪を撫で、少し安心させようとした。

その後の静寂

地震が過ぎ去った後、外は静けさが戻りつつあったが、僕たちはまだ恐怖の余韻から抜け出せなかった。外では避難している人々が集まり、報道が続いている。僕たちは家の中で出来る限りの安全対策をしながら、玲奈を安心させるよう努めた。

「おじいちゃんが守ってくれてる気がする…」玲奈がぽつりと言った。

その言葉を聞いて、僕は彼女の手を握り、優しく微笑んだ。「うん、きっとそうだよ。」

その夜、僕たちは家の中で一緒に過ごしながら、少しずつ落ち着いていった。地震の恐怖は忘れられなかったが、どんな時でも一緒にいることがどれほど心強いことか、改めて感じた瞬間だった。

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