第16話 冒険者パーティー
林の中に入ると、ちょっとしたスペースがあったから、そこでキャンプをする事にした。旅をする上で野営に備えて、ポポ村の道具屋でテントを二つとフライパンと鍋、それに薪を大量に購入しておいた。
前世で、キャンパーと言う程ではないが、キャンプ経験はそこそこあって問題なくテントを張れた。もちろん地球のテントに比べれば、だいぶ簡素だが必要十分だ。
焚き火を用意して、夕食は途中で倒したホーンラビットの肉を塩焼きにして食べた。正直、もっと調味料が欲しいところ…醤油とか〜焼肉のタレとか〜…濃い味が恋しいぜ。
夜は、見張りの為に交代で寝る事に。
小太郎はお腹いっぱいで、仰向けで大の字になって寝ている。ただ野生の本能で、危険が近づけば飛び起きて警戒してくれる。周辺にいくつかの魔力を感じるが、焚き火をしていれば、魔物も動物も基本的には、一定の距離を取って近づいてこない。
魔獣領域に居た頃に比べたら、ビックリするほど恐怖感や不安感は無い。ツリーハウスはカズキの結界で守られてはいたが、一晩中周囲にヤバいレベルの魔力があるのを感じていたからな。その頃に比べれば余裕で寝れる。
そして朝日が昇り、みんな起きると酒場で買っておいたパンとソーセージを食べ、出発した。
「先輩、深夜に見張りをしていた時にキャンプから三百メートルくらい先を、結構デカイ魔力が通り過ぎたんですけど、あの感じは五十メートル級のジャイアントワームだと思いますよ」
「オレ達と同じ方向なのか?」
「おそらく。もしかしたら途中で出くわすかもしれませんね〜」
「マジかよ〜、キモいから嫌なんだよな〜ジャイアントワーム」
ジャイアントワーム。簡単に言えば巨大なミミズだ。目は無いが大きな口に牙が無数に生えている。サイズは小さい個体は一メートル程だが、最大サイズは五十メートルに達する。
体が粘液でヌルヌルしていて、火炎弾が効きにくい。だが、攻撃が単純で馬鹿みたいに口を大きく開けて上から来るから、氷結弾を打ち込みまくる事で、頭部全体を凍らせて粉々に砕くことで倒せる。
ちなみに氷結弾は、氷の弾丸で裂傷を負わせて更に着弾点の周囲を凍らせる弾丸だ。火炎弾と共に主力として使っている。
「先輩って爬虫類好きで、ヘビも好きなのにミミズとかナメクジは苦手ですよねー(笑)」
「いや〜、あのヌルヌルヌメヌメしたのが、なんか苦手なんだよな」
「出くわさない事を祈りましょう!」
「お前…、それフラグだろ」
それから、しばらく歩いて太陽は真上にある。腹も減ったし昼飯にする事にした。
食べながら地図を見るとディオネアまでは、七割ほどの所まで来ている。
「今夜のキャンプは、地図のこの辺りの岩地にしよう。小高い丘っぽいから周囲を警戒しやすいだろ」
「そうですね。三時間も歩けば着くでしょ」
その時だった。
「ギャーーー!」
「逃げろーー!」
道の先の方から、悲鳴が聞こえてきた!
「真司…お前のフラグ回収か?」
「多分そうですね…、どうします?」
「そりゃ、助けに行くしかないだろ〜」
すぐに昼飯を片付け、悲鳴の聞こえた方へ走った。
目の前には、真司の言っていた五十メートル級の巨大なジャイアントワームが一匹、襲われているのは馬車が二台。
商人らしき二人とジャイアントワームに対峙している冒険者パーティーは四人か。一人は剣士、魔法使いが二人、ヒーラーが一人。
「冒険者の護衛が居るなら大丈夫そうだな」
「そうですね。普通に考えたら…」
ー ドカーン!
ジャイアントワームの攻撃に剣士と魔法使いの三人は弾き飛ばされた。
「え…?嘘だろ、あんな大振りな攻撃を食らうか?」
「あんだけ巨大な魔物相手なら、普通距離を取って攻撃しますよね。魔法使いが二人いるんだし」
飛ばされた三人はヒーラーに回復してもらって起き上がったけど、完全にビビってるな。
「しょうがない!全滅する前に助けに行くぞ!」
「はい!」
すぐに走り、ジャイアントワームと冒険者達の間に割って入った。小太郎は商人らしき二人の前に立って守っている。
一瞬にして目の前に現れたオレ達に、冒険者達は呆気に取られた様子だ。
「おい!冒険者達!下がってろ!」
「え!? オーガに…シャドーファング!?」
すぐさま竜太と真司は銃を構える。
ジャイアントワームが上から大口を開けて仕掛けて来た!
「今だ!!」
二人の銃がジャイアントワームの大きく開いた口内を氷結弾で蜂の巣にする!!
弾丸の鋭い攻撃力に加え口内から頭全体が、どんどん凍りついていく!
ジャイアントワームは一度仰け反ると地面に倒れ込み、その衝撃で凍りついた頭部は砕け散った。
「はい、完了!」
「やっぱ、ジャイアントワームには氷結弾一択ですね!」
「だな。ゴブリンの群れより楽だわ」
そして後ろを振り返ると、冒険者パーティーの四人も商人らしき二人も、目を丸くし口を開けて呆然としていた。
あっ、商人らしき二人はシャドーファングの小太郎にビビってるのか。
「小太郎、こっちに来い」
「皆さん無事ですか?怪我はないですか?」
冒険者達は、まだ動揺しているみたいだがリーダーらしき剣士が口を開いた。
「あ、ああ…、大丈夫。助かりました」
商人の二人も近くに来た。中年の男と、その息子らしき青年。
「私は商人をしているフリントと申します。助けていただき、ありがとうございます!」
「いや、大した事ないから気にしなくていいよ」
「そんな訳にはいきません!命の恩人なんですから、これはお礼です。受け取ってください!」
商人はそう言うと金貨の入った皮袋を渡してきた。ここは素直に受け取っておこう。
「遠慮なく、ありがとうございます」
剣士の男、魔法使いは男と女、ヒーラーは女。全員二十代半ばで、中級冒険者らしい。一緒にいた商人から護衛の依頼を受けてポポ村に向かうところだったそうだ。
剣士の名前はシーン。
「シーン達は中級冒険者なんだよな?ジャイアントワームと戦ったことは無いのか?」
「あんな最大級クラスなんて人間領で見た事ないですよ。せいぜい二十メートルの中型クラスまでしか居ないですからね」
「そうなのか?」
「はい、最大級の物は魔獣領域にしか生息していないらしいですからね。俺達もジャイアントワームは何度も倒してますけど、中型クラスまで」
「へー、真司は知ってたか?」
「いや初めて知りましたよ」
シーン達は不思議そうな顔をしている。常識だろうと言わんばかりに。
「あ〜、実はオレ達は魔獣領域から来たんだ。だから最大級クラスのジャイアントワームは珍しくなくてな」
「マジっすか!?魔獣領域から来た人なんて初めて会いましたよ!」
やっぱり、この反応なんだな。それにしても魔法使いの男ミルが銃をずっと見ている。
「あの…、竜太さん達の持っている物は、どう見ても魔法の杖じゃないけど、ソレから魔法を撃ってましたよね?」
「ああ、これは銃って言う物で、オレ達は杖よりこれの方が上手く魔法を撃てるんだよ」
「魔法使いとしては気になるんで、ちょっと使わせてもらえませんか?」
そうだろうね。ポポ村の酒場でも魔法使い達に、「見せてくれ」とよく言われてた。この世界で魔法を撃つのは、木や金属で造られた杖が常識で、杖以外の形状だと弓で魔法を纏わせた矢を撃つくらい。
「いいよ、撃ってみな」
「ありがとうございます!」
魔法使いのミルはワクワクを隠しきれない様子だ。
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