第16話 激闘?福引会場?(10) 店《てん》に北斗シイタケ輝くとき、南斗性拳もまた輝く!

 さてと、アイスダンスショーに場面を戻そう。

 さぁ、やってきましたお気楽ターン!

 行くど―――――ン‼


 ということで、20人の職人が突出すケツの上に広々と横たわった氷のステージ。

 そのステージの真ん中に、まるでチ●コでも立ち上がったかのように黒い魔装騎兵が氷をぶち破って立っていた。

 さきほどから、その魔装装甲の下からブチブチと血管が切れるような音が漏れている。

 どうやら、セレスティーノ旦那、コケにされすぎて、かなりのおかんむりのようであるwww


 そんなステージの前にたむろするオバサマたちの後方で、タカトは己が口のなかに人差し指と親指を突っ込んでもがいていた。

 どうやら先ほど食べたレッドバナナの繊維が奥歯と奥歯の間に挟まって取れないようなのだ。

 指先の感覚をたよりに必死に繊維の端をつかもうとしているのであるが、どうにもうまくつかめない様子。

 だが、ついに「ほれたぁ!」という大声と共に口の中から白いよだれを引きながら抜き出された指先には、一本の黒い繊維が挟まれていた。

 あれ……もしかしてこの繊維は毛なのだろうか?

 一本の縮れた毛……

 チンケイチ?

 ――どうみても……チンケイチだよなこれ……?

 ちなみにこの毛、中華料理人の巨匠である陳健一先生とは全く関係ないことをここに明記しておきますwww


「ほわたぁ!」

「あたたたた!」

 氷のステージの上では二人の女がまるでダンスでも踊るかのように激しくつかみ合っていた。

 お登勢はセレスティーノ背後から股下へと手を突っ込み、超!硬いはずの魔装装甲を二本の指で叩き割る!

「北斗シイタケ‼ 奥義! トリプル・ルッツルツル!」


 一方、ヨシ子はおでん組の玉五郎を相手に無数の手刀を繰り出していた。

「南斗無雄むおん拳! 奥義! らぶくうさつ!」


 ついに立ち上がっていたセレスティーノの足がブルブルと震えだす。

 セレスティーノの尖った亀の口からは白い玉のような泡が噴き出しはじめていた。

 そして、ついにセレスティーノの足が崩れおちたのだ。


 勢い余って体内へとしぼみゆくセレスティーノの巨根。いや小根www


 オバサマたちがいる臭い観客席の中に強い衝撃と大きな轟音がなり響く。

 激しく揺れる頬からは皮膚とも化粧とも分からぬ塊が落ちてくる。

 などと思った瞬間、目の前の魔装装甲が大きく崩れ落ち一瞬にして数本のチンケイチたちが引き抜かれた。


 阿鼻叫喚のセレスティーノ

 チンケイチたちは金玉を引っぱる手を放し悲鳴を上げながら抜け落ちる。

 金玉から放れたチンケイチは行き場を失い乱れ飛ぶ。

 天に跳ね返るチンケたちは、近くのオバサマたちの口内を突き刺していた。

 効能を遺憾なく発揮するセレスティーノのチンケイチ。

 オバサマたちは瞬時に頬を赤らめて潮を噴き出し倒れていく。

 だがもう、そんなことに構っている余裕などありはしない。

 まだ手にしていない者たちは、自分だけはもっと大量に手に入れようと狭いステージ前へと集中するのだが、倒れたババアに足を取られて大渋滞。

 そんな身勝手なゴミムシどもの集まりに、更に装甲を突き破ってきたお登勢の指がサービスす。

 それはまるで草でもむしり取るかのように、装甲と金玉に挟まれたチンケイチたちをブチブチという真っ赤な音を立てながら引き抜いていったのである。

 そんな毛根であったモノたちが、割れた魔装装甲の表面に無数の赤き線を引いていた。

 そして、勢いをとどめぬお登勢の指の先端は、ついには装甲の内側のチンケイチまでをもブチ抜いていくのであった。


 そう、今行われている、この勝負こそアイスダンスショー!

 目の前に立つ男の体毛をいかにきれいにそぎ落とすかを競うものなのである。

 いや削ぎ落すだけではダメなのだ。

 それでは単に不精髭をそった後のオサンのアゴのようにザラザラとしたお肌になってしまう。

 そう、いうなれば、これは美を争う競技!

 一見、女性と見間違うようなツルツルのお肌にしあげなければならないのである!

 てっ、これのどこがアイスダンスショーなんだよ!

 だから、ツルツルお肌が女性のように見えたとしても「アイツ!だんすしょ~!」

 無理やりすぎぃwwww

 まあいいや!

 なら! 氷は! 氷のステージは何だというのだ!

 えっ? ただの演出ですよ! 演出! 何か文句がありますかぁ~www

 ということでwww

 氷のステージの上では、孤高のソリストお登勢と元ソールランド嬢であったヨシ子が激しいだんすバトルを繰り広げているのであった。


 そんな二人を見つめるオカマ…いやオッサンが一人。

 汗ばむ手を固く握りしめ必死に何かを訴えようとしていた。

 ――頼む……お登勢……ヨシ子の『らぶくうさつ』をとめてくれ……

 このオッサン、知る人ぞ知るフーぞくテンの寅さん! こと、寅次郎、その人である!


 ダボシャツの上にダサい腹巻……

 つまみ帽をかぶった頭からは見たこともない大きなお守りをかけていた。


 傍目から見るとその姿はダサイように見えなくもない。

 いや、事実、確かにダサいことこの上ないのだ。

 だが、このフーぞくテンの寅さん、かつてはスラリとしたいい女だったのである。

 女?

 女だ……と?

 まぁ、女は女なのだが、俗にいうオカマというやつだったのだ。


 だが、このオカマ、かつては非合法の地下闘技場のオーナーを務めたほどのオカマなのである。

 彼? 彼女? まぁとにかく寅次郎がスカウトしてきた奴隷は魔物相手に連戦連勝!

 中には闘技場で稼いだ金だけで奴隷の身分から抜け出した強者もいたのだ。

 ちなみに後にも先にも自分の力だけで奴隷の身分から抜け出したのはこの奴隷だけである。

 その伝説の奴隷の名はゴンカレエ=バーモンド=カラクチニコフ……あれ、どこかで聞いたことがあるような……

 それもそのはず、その名前はピンクのオッサンがピンクになる前の名前である。

 そう、ピンクのオッサンはかつて地下闘技場で戦っていたのだ。

 だが、そんな地下闘技場のオーナー業も何やかんやで第八の騎士セレスティーノにミソをつけられてあえなく終了。

 この辺りのいきさつは、短編に書いているので読んでみてね!


 で、無職となったこの寅さんは、この後、風俗店を転々とすることになる。

 最初はオカマである自分自身を売りにして、自ら店に出ていたのであるが……無理がたたって腰ではなくてお尻を痛めてしまった。


 もう……二度と閉まらない私の校門……

 かつて固く閉ざした唇に激しい愛を咥えて踊っていた……

 性春と言う名のデカダンス……

 もうあの頃には戻れない……

 今ではパンツにミソがつく……

 ……だから……

 ……だから……

 替えのパンツが必要なの……

 トラ柄のトランクス……。

 今日もまた……トランクスを求めてコンビニに……

 あぁ……もうあの頃には戻れない……


 そんなことはどうでもいいのだ。大した問題ではない。

 そして、今や……何もできなくなったオッサンとして流浪の旅に出ているのだ。


 かつては人の才能を見出すことに長けた彼……いや、彼女は、当時、飛ぶ鳥を落とす勢いの地下闘技場を経営するとともに、闘技場で活躍する女性拳闘士を育てよう目論見、副業で風俗店「ニューHカレドニア学園」のスカウトを始めていた。


 寅次郎が見つけてくる女の子はどれも男受けが良かった。

 というのも、多少、器量が悪くとも寅次郎が徹底的にテクニックを叩き込んでいたのだ。

「なんでダブルなんだい! トリプルルッツルツルはこうだよ!」

 酒を飲みながら指導する寅次郎はまさにトラになっていた。

「そんなのではニューヨークのお登勢に勝てないよ!」

 ガルルルル!

 徹底的にしごきあげるその指導方法。

 ほとんどの女の子が再起不能になっていた。


 そんな中、一人の女がソールランド嬢となるべくニューHカレドニア学園の校門をくぐった。

 そう、ヨシ子45歳の春のことである。


注意:上記年齢を書き直しました!

(当初、ヨシ子15歳としておりましたが、未成年者を風俗店で労働させていると意識高い系の人たちに炎上させられる恐れがあるため、45歳に変更させていただきました。というか、炎上しろ! 爆発しろ! 燃え上がれ! 俺のコスタ・ラ・デ・ルス! って……単に15歳だと後の話で年齢の計算が合わなくなっただけなんですけどね……! あっ! ちなみにコスタ・デ・ラ・ルスとはスペイン・アンダルシア州カディス県とウエルバ県にまたがる海岸のことだよwww俺のように間違って覚え無いようにwww)

 

 この頃のヨシ子はギリー隊長との結婚生活をおくっていた。

 だが、旦那の安い給料だけではとてもじゃないがホストクラブ「根アン♥出るタール神」に毎日通うことができない。

 ひいきにしているゴリラマッチョ義男君をナンバーワンの座に押し上げてあげたいのに……金が全く続かないのだ。


 ちなみにゴリラマッチョ義男君、ナンバーワンには程遠い、この店のナンバーサーティワン!

 でもって不思議なことに、この「根アン♥出るタール神」に在籍するホストの数はなぜかサーティなのであるwww


 だが、黒服の彼はナンバーワンになるその日を決して諦めていなかった。

 そう、サービス精神にあふれる彼は、客に頼まれればなんでもしたのである。

 おしぼりを持ってこいと言われれば、進んでおしゃぶりを持ってきた。

 場を盛り上げろと言われれば、進んでスッポンポンになった。

 「コスタ・ラ・デ・ナイス!」

 そんなクレームでもこようものなら、進んで鍛え上げた尻の筋肉を震わせるのである。

 あまつさえ、客の一人にラブドールのモデルにしたいといわれれば、進んで液体の尻コンを身にまとっていた。

 そんな努力家である孔門(孔子の門下生の事だよwww)は、1ヶ月・31日間、毎日違ったフレーバーの香りをお客様に楽しんでいただきたいとの願いから、日々洗うことなく汗と唾液となんかの液体によって鍛え上げ続けられていたのであった。

 って……ここまで書くと……彼がナンバーワンになれない理由は、おそらく働く店を間違えただけのような気がしてきたぞwww


 だが、そんなことはヨシ子には関係ねぇ!

 そんなの関係ねぇ! そんなの関係ねぇ!

 ハイ! ブッチョンパ!


 そんな時、ゴリラマッチョ義男君が死んだ……

 店の裏の暗い路地に広がるゆく赤い血だまりは、つい先ほどまでこの大柄の筋肉マッチョが生きていたことを表していた。

 だがしかし、彼のビックリマンチ●コがあった場所には、まるで鋭利な刃物にでもえぐり取られたかのような穴があいている。

 そして、もう……その体はピクリとも動かない。

 しかも、なぜか……仰向けにぶっ倒れる股間の上には葬式の時に亡くなった人の顔にかけるような白い布……いや、紙が、その下にあいた穴からにじみだす血によっ真っ赤に染めあがっていたのだった。

 その紙には……

「ゴリラマッチョ義男君! メスゴリラ義男君にジョブチェンジwww」

「しぼりたてチ●コクリーム入荷しましたwww」

「一名様限定! 串刺しバナナチ●コもございますwww」

「みんなこの穴を使ってねwww」

 と寄せ書きのように書かれていた文字が、かろうじて読むことができた。


 その事件が起こったのは、ちょうどヨシ子が ニューHカレドニア学園の校門をくぐるはるか前の事であった。

「まずは奥尻におわす黄門様を責たてるんだよ!」

 天井の高い大広間にフーぞくテンの寅さんの声がこだました。

 ヤぁー! ヤぁー! 

 大理石の床の上にはカンフーの修行で使われるような白き木人たちが数十体、二列に並んでいる。

「コラァ! 休むな! 常に自分を激しい戦いの中におくんだ! さすれば、敵は勝手に外の世界で果てていくんだからね!」

 木人から突き出される腕のような一本の太い棒。

 そんな太い棒を相手に女の子たちが寅さんの指導の下、組み手の練習を行っていた。

 ヤぁー! ヤぁー! ムッシュムラムラ!

「敵を尻! 己を修羅場! 百戦赤子ならず! これがアンタたちの身を守る護身術! 餓えた男たち相手に何度でも安全に戦える方法なんだ! しっかりとその体に覚えこましな! そして、あいつらからとれるだけ金をむしり取ってきな!」


 そんな寅さんが、一人の女の前で足を止めた。

 女の手刀が白き木人の伸びた腕を激しくこすっている。

「アタタタタタ! ホワァタァッ!」

 そして、次の瞬間、その木人の根元から「ボッキっ!」という大きな音が響くと、男の腕ほどある巨根がポキリと折れていた。

 木人にあいた穴から吹き出す整枝……された白い木の破片。それはまるで自由を得た白玉のようでもある……

 窓から差し込む日の光にヨシ子の汗がきらびやかに輝き飛び散っていくのがはっきりとわかる。

 そんな宙を流れゆく丸い汗の球体に、スピードを上げた小さな白玉たちが次々と突っ込んでいくのだ。

 寅次郎の眼には、その波打つ膜の表面が無限の可能性という名のエネルギーを受け取って変化していく姿がハッキリと見えていた。

 そう、それはまるで人の始まりをみるかのようでもある……

 まさに……アメージング!

 ――この子ならお登勢を倒せるかもしれない。あわよくば……あのセレスティーもまた……


 寅次郎は、汗を拭くヨシ子の肩に手をかけた。

「ヨシ子……私の下で南斗性拳せいけんを極めてみないか……」

「なんと!」

 ふり向いたヨシ子は驚いた表情を浮かべていた。

 というのも、この修練所で女の子たちが極めんとしていたのは北斗シイタケそのものであったのだ。

 だが、寅次郎は、そのヨシ子の驚きがさも当然と言わんばかりに首を小さく横に振った。

「ヨシ子……ここで教えている北斗シイタケは真似事に過ぎないのだよ……」

 そう、北斗シイタケは一子相伝……いまやその、正当なる継承者はお登勢以外にいないのである。

 だが、ソールランド界において、北斗シイタケは無敵といわれるテクニック。

 憧れるものが多かったのも事実なのだ。

 そのため多くのソールランド店では北斗シイタケの名前を勝手に使って営業していたのである。

「北斗! 公金こうきん自在脚!」

 それがたとえ偽の技であったとしても、嬢たちがひとこと叫べば公務員である守備兵たちは喜んで、のたうち回った。

「あぁぁ! 北斗シイタケによって体が勝手に動いてしまうぅぅぅwww」

「俺の意思じゃないんだぁwww」

「これは秘孔をつかれたせいに違いないwww」

 店に足しげく通う男たちにとって、国の公金を勝手に使い込む理由には事欠かなかった。

 そんな右肩上がりの営業伝説は、さらに北斗シイタケの名前を世に知らしめた……


 だが、伝説はそこで終わりではなかった……

 そう、てんに北斗シイタケ輝くとき、南斗性拳せいけんもまた輝くのである!


 寅次郎はヨシ子に南斗性拳せいけんの極意を教えた。

 北斗シイタケとは、まるでシイタケの菌糸のように体内を縦横無尽にのびる毛の秘孔を、軽薄非行なる破壊によって、その内部からツルツルにするものである。

 これに対し、南斗性拳せいけんは外部から放たれる無数の鋭い刈込で、瞬時にその根元からのツルツルを旨とするものなのだ。


 しかし、この両者の違いは一目歴然!


 いかに南斗性拳せいけんをもってツルツルに剃り上げたとしても、また毛が生えてくるのである。

 だって、まだ毛根が残っているんだもの……

 これに対して北斗シイタケは永久脱毛!

 ……やはり伝説の拳といわれるだけのことはある。

 これだけ見ると北斗シイタケが優れているようにも見えるのだが、南斗性拳せいけんにもいい所があるのだ!

 そう、お客が何度もリピートして店に来るのである。

 永久脱毛してしまえば、それ以降、店を訪れることはないのだ。

 だからこそ……客が来ない北斗シイタケは、それが原因で……一子相伝……

 だって……営業が継続できないから後継者すら育てられなくなってしまったのである。

 それに対して、南斗性拳せいけんは北斗シイタケの名前を冠して108店舗という栄華を極めんとネオンをキラキラと輝かせていたのである。


 ヨシ子が南斗性拳せいけんの特訓を始めてほどなく、今度は「根アン♥出るタール神」のナンバー30が死んだ。

 店の裏の暗い路地で、ゴリラマッチョ義男君の時と同じように真っ裸で倒れていたのだ。

 だがしかし、鋭利な刃物なようなもので切り取られた股間の上には、白い紙ではなく、代わりに青いリボンが一つ置かれていたのであった。


 その二日後……ナンバー29が死んだ……

 そして、その二日後……ナンバー28が死んだ……

 そして、またまたその二日後……ナンバー27が死んだ……


 というか、なんかホストの数が多くて面倒くさくなってきたなwww

 ということで、二日おきにナンバー5まで立て続けに死んでいったのだwww


 その数6人……

 えっ? 計算が合わない?

 馬鹿じゃないですか!

 同僚が順番に死んでいっているのにもかかわらず馬鹿正直に「根アン♥出るタール神」でホストを続けていると思いますか?

 次に狙われるのは自分かもしれないんですよ!

 ワイじゃなくとも当然、店を辞めて逃げ出していきますわい!


 だがしかし、ここまで同じような殺人事件が起こると、さすがに公金を横領していた守備兵たちも嬢たちが乗る重い腰を上げざるを得なかった。

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