②俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます 一部二章 ~激闘!と激闘? ~ ガラポンいかさま道具!パちんこ玉赭ブロー編~
ぺんぺん草のすけ
一部二章 激闘!と激闘? ~ ガラポンいかさま道具!パちんこ玉赭ブロー編
第1話 第1話 プロローグ
青い空!
緑の大地!
涼やかな風が草原の草花を優しくなでていく。
なんか青臭い臭いもしないでもないが。
だがもう、逆にこれだけ爽やかだと……ちょっとした木陰に広げた敷物の上で彼女が恥ずかしそうに細長いお芋パンや
「いやぁ~ん♡ この細長いオイルパン、ヌルヌルしてる! きゃぁ! 中から白い生クリームが飛び出してきたわ♡ なんか青臭いけど……おいしぃ~♡」
だって、時はおやつ時。
そして、ここは第六の門外フィールド!
えっ? この彼女が誰だって?
妄想ですよ妄想! ただのモテない中年コンニャク男の妄想!
そう、それはただのラブドール!
って、おいおい……ギリー隊長……こんなところにラブドールを不法投棄してたのかよ……
あれ……たしかラブドールは、彼女じゃなくて彼だったのでは?
だがギリー隊長……おそらくラブドールを袖にするという慙愧の念に堪えられれなかったのであろう。
その放棄したラブドールの前には、お供え物のようにお芋パンと
しかし、すでに数日ほど経過しているのか、パンの表面には青カビがびっしりと生えてヌルヌルとしていた。
しかも、
そんな緑の草原の海にポツンと四角い建物が建っている。
石をくみ上げられたその建物は遠くから見れば、それは未開封のコンドーム五個入りの箱のように小さい。
(注意:これは、もしかしたらまだ使うチャンスがあるかもといまだに隠し持っているギリー隊長のコンドームの箱のことである。だって、彼との間柄は何も隠し事がないノースキンの関係。しかも体を念入りに洗う仲なのだ。いや、だったのだ……ヨシオぉぉぉぉ! ごめんよぉぉぉぉ! これでお別れだぁ! だから……だから……最後にもう一度♡ ヨシオぉぉぉぉ! って、ヨシオって誰やねん! まさかラブドールの事か⁉)
だが、その箱に近づいてみると四階建てぐらいの高さの城壁で囲まれた構築物であった。
これは第六の駐屯地。
第一の駐屯地同様に兵器の国の職人が作り上げた至高の一品だ。
だが、第一のそれと違うのは、なぜか第六のフィールドには駐屯地はが五つも見て取れるのである。
従来、聖人世界の駐屯地というものは門外のフィールドに一つだけ作られているのが普通である。
というのも、駐屯地は前線に近いといえども、当然ながら聖人世界のフィールド内に作られている。
すなわち自軍の騎士にとっては不死性やその能力がいかんなく発揮できる場所。
そして、その神民たちも限界突破などの能力が使えるのである。
それに対して、魔人騎士たちにとっては敵フィールド。
不死性を失ったうえにその能力も十分に発揮することができない。
まさに戦うには不利な場所なのだ。
こんな条件下で駐屯地を複数作って兵力の分散をかけるより、一か所にまとめた方が効果的にキーストーンを守ることができるのは自明の理である。
しかも、キーストーンには一定距離内に存在する騎士や神民たちの能力をさらに強化するというおまけまでついているのだからなおさらだ。
だが、第六のフィールド内には複数の偽装駐屯地が作られていた。
それはまるで、魔人たちの目からキーストーンの場所を特定できないようにするかのようである。
しかし、こんなに偽装駐屯地を作れば兵力が分散されて守りにくいのではないだろうか?
確かにそうなのだ。
だが、仕方ないのである。
第六のエメラルダは第五世代の魔装騎兵の融合技術に常々疑念を抱いていた。
そのため、第六駐屯地に配属される魔装騎兵の数は他の門の駐屯地に比べると格段に少なかったのである。
そんな小戦力では、魔物たちが怒涛の如く大群で押し寄せてくれば数の力であっという間に押し切られてしまう。
そこで、苦肉の策として敵兵力を分散させたのだ。
仮に一か所の駐屯地が攻められても挟み撃ち、もしくは他の駐屯地に逃げることができる。
このように、キーストーンの場所さえ特定されなければ敵からも本腰を入れて攻められにくい。
もし、こんな状況でキーストーンを奪い取ろうとするならば全駐屯地の同時攻略ぐらいしかありえないのだ。
だが、その投入する戦力の数は、一魔人騎士が持つ兵力では到底足りない。
だからこそ、第六のフィールドは奇妙なバランスで維持されていたのである。
城壁で囲まれた駐屯地の四隅には魔物の襲来を警戒する見張り櫓が建っていた。
そんな櫓が先ほどから激しく警鐘を鳴らしている。
カン! カン! カン!
城壁の内側、すなわち駐屯地内では新兵たちがざわめきたっていた。
戦闘経験が少ない彼ら。
だが、彼らなりに、ただならぬ事態が差し迫っていることだけは感じ取っていた。
「何がどうした?」
「同時敵襲らしい?」
「なんで? めったに魔物は攻めてこないはずじゃないのかよ!」
「じいちゃぁぁぁんー---! 帰りたいよぉぉぉ!」
「戦争を起こすな! 俺はまだ童貞なんだ! ぷぅ~!チン〇しばクぞ!!」
錯綜する情報。
新兵の誰もが正しい判断が全く出来ない。
それに対し、熟練の兵士たちは決められた手順に従い慌ただしく備えをしていく。
それを見る新兵たちもようやく練習通り行動を始めるが、どうにも思うように行かないらしい。
そんな兵士たちの間にはしだいに殺気といら立ちがふり積もり、いつしか怒号が飛び交っていた。
城壁の上からは、遥か前方の草原に黒い塊が見て取れた。
見張り台の兵士たちが周囲のランドマークから距離を導き出す。
さらにその距離から計算されたその塊が約1万もの魔物の群れであることが推測された。
一万……
その途方もない数は見張り台の守備兵たちを驚愕させるのには十分であった。
なぜなら、この駐屯地には魔装騎兵である神民兵が10人、一般兵100人、奴隷兵400人しかいないのである。
その兵力差は約20倍。
数で押しきられることは目に見えていた。
すぐさま、内地の宿舎へと援軍派遣依頼の伝令が跳んだ。
城壁の上で白髪を無造作にオールバックへとまとめあげた大柄な男が、はるか向こうに広がる魔物の群れを伺っていた。
武骨な骨ばった顔に鋭い視線を持つこの男はエメラルダの神民で参謀のような役割を果たすカルロスである。
エメラルダに絶対の忠誠をささげるカルロス。
そんなカルロスにエメラルダもまた深い信頼を寄せていた。
その証にエメラルダは彼に自分が持つ宝物級の武具『天馬の黄金弓』を預けていたのである。
まぁその代わり、いまや駐屯地で起こるすべての事物がこのカルロスに任せきりになっていたのであるが……
「じゃぁ、駐屯地の事はお願いね♡ カルロス♡」
「何をおっしゃられます! エメラルダ様!……これはあなたのお仕事でしょが」
「これ貸してあげるから♡」
「こ! これは伝説の黄金弓! でも……私には全く使えませんけどね……」
「えー! そうなの? なんなら、これで魔物をどついてもいいわよ」
「弓でどついてもダメージはいらないでしょうが! もう……いいですわ……分かりました! この不肖カルロス! 命に代えても、この駐屯地を守り抜きます!」
そんな彼のもとに一般兵が急ぎかけより報告をいれる。
「全ての偽装駐屯地に、おのおの一万の魔物軍勢が視認されしとのことです」
「全てか……ガメルめ、ここで一気に勝負に出る気か」
カルロスの白い髭をたくわえた口がうなり声をもらした。
そんなカルロスは苦虫をつぶすような表情を浮かべ考える。
我が軍は兵力差で圧倒的に劣る……
ならば当然、籠城戦で迎え撃つしかあるまい。
兵器の国の職人が作った要塞であればこの兵力差は十分に補えるはずだ。
ただ、長引くようであれば数で劣る我が軍は消耗しきってしまうことだろう。
さしずめ、勝敗の行方は援軍の到着如何というところか。
前方をにらみ続けるカルロスは側に控えている守備兵に目を落とすこともなく詰問した。
「内地のエメラルダ様へ知らせは送ったか?」
「ハッ! すでに内地よりエメラルダ様を含め増援部隊がこちらに向かっているとの報告です」
カルロスの側に膝まづく一般兵がすぐさま答えた。
「よし! ならば、あとは存分に戦うのみ!」
カルロスは左手にしっかりと『天馬の黄金弓』を握り締め直すと、背後へと力強く振り返る。そして、檄を飛ばすのだ!
「すべての偽装駐屯地に伝達! すぐさま駐屯地を放棄! その後、本駐屯地に合流! 本駐屯地のキーストーン護衛に全兵力を持って専念せよ!」
「御意!」
カルロスのそばに控えていた一般兵たちがガシャっという鎧の音ともに膝まづくと、すぐさま城壁から駆け降りた。
城門の外へと勢いよく駆け出していく兵士たちを見送ったカルロスは一歩一歩と歩きだす。
そのたびに、身に着けた鎧が武者震いのようにガシャガシャと音を立てて揺れうごく。
その音はまるで、決死の覚悟を決めたかのような力強い音であった。
カルロスは駐屯地内全体が見渡せる高台に登ると大声をあげた。
「急ぎ持ち場につけ! 魔物の群れは目の前まで来ているぞ!」
それに呼応するかのように部隊はあわただしく持ち場に駆けていく。
城壁の上部には10人の神民兵たちがさっそうと並ぶ。
その後方では、一般兵たちが投石車や連撃弩の準備を整えていく。
城門の背後には、奴隷兵たちが槍と盾を構え突撃の合図を、いまかいまかと待っていた。
戦闘は奴隷兵たちにとっては唯一、自由への近道であった。
この世界では奴隷たちの命はとても軽い。
とはいえ、奴隷たちを無碍に扱っていたのでは誰も従わなくなるだろう。
それは現代の会社経営においても同様だ。
ブラック企業の社畜同様、いくら上司である騎士や神民の命令があるからと言って、命をかけたデスマーチにモチベーションなど上がるわけがない。
まぁ当然、その命令に従わなければ散々イジメられてクビを斬られるだけなのだが。
といっても残念ながらこの世界では現代日本と違って本当に首を斬られてしまう……
それならばと!
大体こういう場合には、いつの世も手抜きをして生き延びるのがセオリーである。
なにせ自分の命が大切なのだから、なるべく安全なところに身を置いて「やっていますよぉ~」とアピールしていればいいのである。
そして、それができないやつから真っ先に死んでいくのだ。
馬鹿である……
まぁ、正直といえば正直なのかもしれないが……
もう少し、要領よく生きようよ!
どうせ奴隷の身分なんだからさ、俺たちは……
だがしかし、こんな奴隷ばかりでは上司である騎士や神民たちは困ってしまう。
ところがどっこい! お馬鹿な上司にはそれが分かっていない!
だから、安易に怒鳴って怒ってパワハラに走るのである。
力任せに従わせたところで奴隷たちが能力を発揮できなければその組織は自ずと衰退していくことは明白なのだ。
ならばどうする?
そんなことは簡単だ!
奴隷たちにやる気を持たせればいいのだ。
奴隷たちの鼻先に、汝が欲するニンジンをぶら下げてやれば自ずと勝手に走り出す。
そう、だから、この世界では戦闘で得たアイテムや報酬などが奴隷たちの手元に残るようになっているのだ。
そして、その蓄えた報酬で奴隷は自らで自らの体を購入することができるのである。
言い換えるならば、金をためれば奴隷の身分から一般国民の身分になれるのだ。
しかし、報酬が得られるとはいえ奴隷が手にする報酬は極めて少ない。
そのほとんどが主である騎士や神民のもとに搾取されてしまう。
この辺りもまさに、現代社会と同じである……今月の給与明細を見てみろ! 控除額の多さに愕然と来ること間違いなし! って、俺だけか?
だが、こんな少ない報酬で一般国民の地位を買うことができると本当に思っているのであろうか。
いや、実際にいたのである。
奴隷の身分でありながら大金を稼ぎ一般国民の身分に返り咲いた男が一人。
そう、それは伝説の男!
『ゴンカレエ=バーモンド=カラクチニコフ』!
闇格闘界無敗の王者にして、元チャンピオン!
って……なんか、この名前、どこかで聞いたことがあるような……
……確か、ピンクのおっさんもこんな感じの名前だったような気がするような……しないような……
カルロスは部隊の状況を一目すると、手にもつ黄金弓を天に掲げ鼓舞をする。
「よいか! エメラルダ様が戻られるまで、この駐屯地を必ず死守する! 皆、覚悟を決めよ!」
「「「オオオオオオー-----!」」」
一斉に雄たけびをあげる兵士たち。
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