白川
朝起きるともう家には誰もいない。
共働きの両親は朝が早いんだ。
だからいつの間にか僕は朝から自分でおにぎりを作るようになった。
最近は自分の分と黒田くんの分も。
「おはよう、白川」
「あ、おはよう黒田くん」
席替えをして、黒田くんが僕の前の席になった。
毎朝僕がおにぎりを食べているのを見つめてくる黒田くん。
黒田くんもお腹すいてるんだね。
おにぎりをあげるとあっという間に食べちゃったんだ。
それからは一応黒田くんの分も作ることにしたんだ。
だって黒田くん、前は学校にくるのは遅かったのに、教室に一番乗りする僕と同じくらい早くくるようになったんだよ。
そして僕のおにぎりを見つめる黒田くん。
「おにぎり、食べる?」
僕がおにぎりを差し出すとすごく嬉しそうにするんだ。
「食べる! サンキュー」
よっぽどお腹すいてるんだね。
黒田くんは僕より体もおっきいから、おにぎりも大きめに作ってるんだ。
僕の朝ごはんのついでだからぜんぜん苦じゃないよ。
だってこうやって僕が作ったおにぎりをおいしいおいしいって食べてくれるのが、なんだかとっても嬉しいんだよね。
それにいつも一人で食べてたから、黒田くんと一緒に朝ごはん食べれるの楽しいんだ。
あ、僕なんかが黒田くんと一緒にご飯食べていいのかなぁ。
人気者の黒田くんをひとりじめしちゃって怒られないかなぁ。
僕、黒田くんと友だちになりたいなぁ。
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