白川





 男子校に入学して一ヶ月が経った。

 男子だけっていうのも案外楽しいものなんだなぁ。

 みんなとっても明るくて伸び伸びしていて優しいんだ。

 僕って人見知りしちゃうからうまくしゃべれるかなって思って緊張してたんだけど、二年の頃に同じクラスだった赤星くんが声をかけてくれたから嬉しかったし安心した。

 あ、それに黒田くんもいたんだよ。

 黒田くんとは同じクラスになったことなかったし話したこともなかったけど、サッカー部のキャプテンで、カッコよくてみんなの人気者だったんだ。

 やっぱり近くで見ても黒田くんはカッコいいよね。

 たまに教室の窓からサッカー部の練習を見てたんだけど、黒田くんは本当にサッカーが上手だったよなぁ。

 でも高校ではもうサッカーはやらないみたい。

 どうしちゃったんだろうね。

 あんなにがんばってたのに、もったいないよね。

 何があったのか聞いてみたいんだけれど、僕、黒田くんに嫌われてるのかもしれない。

 目が合うとすぐにぷいってされちゃうし、赤星くんとお話してるとにらまれてるような気がするんだよなぁ。

 僕、何か怒らせるようなことしちゃったかな。

 もっと黒田くんともお話してみたいんだけどなぁ。

 やっぱり明るくて人気者の黒田くんや赤星くんとは違って僕なんて楽しい話題もないし、友だちにはなれないのかな。

 いや、こうやって話しかけてくれるだけでも僕は嬉しいから、これ以上ぜいたくは言えないよね。

 あ、そういえば、今日席替えするって先生言ってたな。

 黒田くんか赤星くんの近くになるといいなぁ。

 さあ、おにぎり食べよう。





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