第91話 秘密の部屋

その後、ゴルバの案内の元、何もない部屋にやってくる。


そこは薄暗く、よく中が見えない。


すると、セシリアが俺に体を押し付けてきた。


「お、おい……」


「く、暗いわ……」


「……そういや、暗いところが苦手だったか」


小さい頃にかくれんぼか何かをしていて、とある倉庫にセシリアは入った。

しかし古い建物だったらしく、内側から開けられなくなった。

結局暗くなるまで見つからず、それがトラウマになっているだったか。


「わ、悪かったわね」


「いや、誰でも苦手なものくらいあるだろう。ゴルバ、済まんが早く開けてくれ」


「はっ、ただいま」


ゴルバがごそごそと、壁付近に手を向ける。

すると、『カチッ』という音がして……シャッターが上がっていく。

そこからは光が漏れ、下に行く階段が現れた。


「ちょっと……何よこれ?」


「何って、地下への階段だろう」


「そうじゃなくて、まるで隠されたみたいな」


「だから秘密と言っただろう? ゴルバ、案内を頼む」


「はっ、こちらに」


ゴルバについていき、階段を下っていく。

すると、セシリアが慌てて離れた……俺は何を残念に思ってる。


「……そういえば、覚えてるの? 私が暗いの苦手なの」


「今、思い出した」


「くぅ……忘れなさいよ」


「俺が探したんだったな」


すっかり忘れていたが、みんなで探し回ったっけ。

というか、見つけなかったら……俺が宰相に殺されていたかもしれない。


「あの時は……ありがとう」


「なんだ、急に」


「その……あの時はお礼を言ってなかったなって」


「あぁー……そうかもな」


見つけるの遅い!とか泣いてばかりだった気がする。


「リオンはお父様に叱られちゃったし……ごめんなさい」


「だからどうした?」


「別に……ただリオンも変わったじゃない? だから、私も少しはね……」


「そういうものか」


そのまま階段を降り、扉が開く。

すると……そこでは人々が作業をし、乳製品作りに励んでいた。

俺達はガラスの壁越しに、その様子を眺める。


「よし、きちんと殺菌はしているな」


「はっ、徹底しております」


その後、俺達も殺菌をした上で白衣に着替える。

乳製品の管理はとにかく厳しいからな。

幸いにしてゴルバは元々地頭が良く、俺の拙い説明でも理解してくれた。

そして邪魔をしないように、作業場を見て回る。


「温度管理はどうなってる?」


「地下ということ、リオン殿下の氷のおかげもあり何とかなっております」


「そうか。足りなければすぐに言ってくれ」


「感謝いたします」


すると、セシリアが肩を叩く。


「ねえねえ、アレは何?」


「アレ? ……アレは!?」


セシリアが指差す方の容器を眺める。

そこには、白くどろっとしたものがあった。


「ゴルバよ……良くやってくれた」


「ありがとうございます。ただいま試作段階ですが、タイミングが良かった。お持ち帰りいたしますか?」


「ああ、もちろんだ。褒美はきちんと取らせよう」


「だから、何よアレ? 牛乳?」


「ククク……違う、だ」


個人的にスイーツ作りに欠かせない一つ、それがヨーグルトだ。


冷やす過程が必要なので、俺の氷魔法がなければ不可能だった。


さて……卵とヨーグルトで何を作るとするか。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る