第67話 後遺症?

結局、答えは出なかったが中々にリラックスはできた。


何より、確かに美少女二人が戯れる姿は悪くはない。


一瞬でも、俺から卵のことを忘れさせるくらいには。


「ふぅ、流石に疲れたわ」


「えへへ、川遊びなんて初めてです」


「私だって初めてよ」


「ふっ、まるで子供のようだな」


「何よ、アンタは高みの見物なの? まあ、リオンがキャッキャしてる姿は想像つかないけど」


「なんか、想像したら可笑しいですね」


「酷い言われようだな……どれ、俺も遊ぶとしよう」


立ち上がり、靴を履いたまま川に近づく。

丁度、身体の状態を確認したかったところだ。


「ちょっと? そのままじゃびしょ濡れに……あっ」


「リオン君、何を……うわぁ……綺麗」


俺は水に濡れることなく、川の上を歩く。

簡単な話で、俺が歩く箇所を凍らせたのだ。

そしてある程度の強度を確かめたら、それの範囲を広げていく。


「さて……おおっ!」


ローファータイプの靴なので、スケートと似たように滑れる!

思いつきだったが、これは中々に楽しいな!


「何よそれ!?」


「わぁ〜! 楽しそうです!」


「私たちやるわ!」


「はい!」


そうして二人も氷の床にやってくる。

俺は慌てて強化と範囲を広げていく。


「待て待て、これは意外と難しくてな」


「「キャァァァァァ!?」」


「……遅かったか」


俺と同じように滑ろうとして二人して転んでしまう。

狙ったわけではないが、

仕方ないので二人の前に近づくと……恐ろしい事実に気づいてしまった。

脳の処理が追いつかず、思わずフリーズしてしまう。


「いたたっ……これ、難しいのね」


「リオン君が簡単そうにやってたから油断しちゃいました……」


「本当に……リオン? どうして顔を背けるの?」


しまった、もう逃れる術はない。

すぐにでも立ち去るべきだった。


「本当ですね……ひやぁぁぁ!?」


「カレンってば何を……下着見えてる? えっ? ということは私も? ……いやァァァァ!?」


「お、俺は何も見てない!」


「嘘よ! 顔を背けてるもの!」


「あわわ……お嫁にいけないよぉ」


はい! 簡単に論破! 破滅回避不可!

そしてカレン! 不穏なこと言わない!


「と、とにかく、俺の手を取って立ち上がれ」


「そ、そうね……よっと」


「あ、ありがとうございます」


二人が立ち上がったので視線を戻す。

そこには逆に、俺から顔を逸らした二人がいる。

よくよく見れば、耳まで真っ赤だ。

経緯はどうあれ、乙女の下着を見てしまったのは事実か。


「あぁー……二人とも、殴っていいぞ」


「へっ? べ、別に殴ったりしないわよ」


「そ、そ、そうですよー! わたし達が勝手に転んだだけですし……」


「その代わりと言っては何だけど……滑り方を教えなさい」


「あっ、それいいですね!」


「ふっ、それくらいならお安い御用だ」


どうやら、破滅回避はできたらしい。


これも日頃からヘイトを下げているおかげか。


それにしても、二人が転んでも氷が割れないとは……やはり、魔力調整が狂っているな。


下手すると水の中まで凍っている……昨日魔力を使いすぎた弊害かもしれん。




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