Lizardill

むう子

第1話

ベインは仕事を終え急いで町はずれにある森の近くの家へ帰る。

(今日は父さんはまだ仕事だし、僕が森の奥に薪を割りにいかないとな。)


そんなことを考えながらいつも通り走って帰り家に着く。

「ただいまー!」


「ベイン。おかえりなさい♪今日もお仕事疲れたでしょう。今お湯が沸くからお風呂の準備が終わるまでお茶を飲んで待っててちょうだい」


母さんはいつも通り帰りに合わせてお茶の用意をしてくれている。


「用意してくれたのにごめん母さん、今のうちの森の奥に薪を取りに行かないと暗くなってしまうから温かいうちにクトと先に飲んでて。いつもありがとう」そういうと弟のクトが母さんの代わりに返事をする。


「ベイン兄ちゃん、気を付けてね。帰ってきたら次は僕がお風呂の用意とお茶を用意しておくよ♪」

「ありがとうクト。早く終わらせて帰ってくるね」そう言ってクトの頭を撫でて行ってきますと家を出た。


父さんが昔からこの森を好きでずっとこの自然の中で暮らしたいと、毎日仕事を終えてはここに通って自ら家を建てたそうでこの暮らしを僕も気に入っている。

歩いて森の奥のほうへ進むと僕が通ることに動物たちも慣れているのか野兎は気にせず前を横切り木の上の鳥たちもいつものようにぴいぴい鳴いている。


普通の森は夜に入ると危険といわれるけど、このファムルの森は夜でも大丈夫だろうと思えるくらい優しい動物たちしかいない。


だから仕事を終えてからでもこの森の奥へ入ることに恐怖心はない。歩いていくと奥のほうでいつも通り夕方の日差しが入り美しい木漏れ日の景色が見える。


「よし。やるか」


ベインが薪になる木を斧でたたきなぎ倒し薪を作っていると急に森がざわざわと騒がしくなり

大きな何かが飛んできた。その勢いに吹く突風に僕は思わず目をぎゅっと閉じた。

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