第39話

矢野と絵里香は仕事の後、2人で演技練習をするようになっていた。矢野はとにかく演技が上手い。

眼の動き、表情の使い分け、声のトーン、細やかな所作など絵里香には学ばなければならない事が沢山あった。

「ここはもう少し声のトーンを落としたらどうだ?」

「それじゃ速すぎる。もっとゆっくりと噛みしめるように」

矢野は絵里香の演技を見て、次々に問題点を指摘していった。

「今、初はどんな気持ちで仙蔵を見ている?心に何を考えている?」

絵里香はヒロインのみだが、矢野は台本を片手に、他のヒロインに関わる役を全部こなしている。

絵里香は矢野には負けたくないと思った。

矢野は時間の許す限り絵里香に付き合ってくれた。

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